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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第46章  .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.





須磨さんは事情を知っている。
もちろん須磨さんだけじゃなく、
雛鶴さんとまきをさんにも
宇髄さんは情報の共有をしていった。

そりゃあ、こちらにお世話になるのだから
そんなのは当然の事で…
だけど、ただ守られるだけの自分が
情けないというか不甲斐ないというか、

少しだけ、肩身の狭い思いをしていた。

実はその埋め合わせとして、
リボンを受け取ってもらおうとしていたのだ。

「最近この辺りも物騒みたいですねー。
睦さんも気をつけないと
不審者に目でもつけられているんだとしたら
天元様、心配で夜も寝られませんよー?」

「それは困りますけど…
早く落ち着いたらいいなとは思います、」

他愛のない会話をしながらも、
私の頭の中は『親』の事でいっぱいだった。


お母さんに、いい思い出はない…
悲しいことに、
まったくと言っていいほど。

だけどお父さんは、
…幸せな記憶しかないのだ。

優しくて、楽しい思い出ばっかり。

仕事の帰りに寄ったお店で
私の好きそうなお菓子やおもちゃを
おみやげとして買ってきてくれたり、

休みの日には丸一日、
遊びの相手をしてくれたり。

知らない事もたくさん教えてくれた。

大好きだった。
私はここにいていいんだって思えた。



だから



あの最後の日は、
人生が終わったかのような
そんな気分になったんだ。

空が、頭の上にガァンと落ちて来たみたいな

そんなあまりの衝撃に
幼い私は耐えられなくなった。


お父さんがいたから笑っていられたし、

お父さんがいたから居場所があった。


お母さんの断末魔の叫びが
今でも耳に残ってる。


だけどあの光景だけは、
決して思い出してはいけないの。


その後、近所の人がその声を聞きつけて

たくさんの大人たちが
土足のまま家の中にまで入ってきて…

脱力し切っているお父さんを取り押さえたり、

私にソレを見せないようにしたりした…


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