第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
「須磨さん達が喜んでくれるのであれば
お金はいりません。
私は生活のために
ものづくりを仕事にしてますけど、
須磨さん達はその対象じゃないと思ってます」
「睦さん…」
「そんなふうに言ってもらえて嬉しいです…
だけど、
もらって頂けるのも嬉しいんですよ…?」
「…すっごく嬉しいんですけどー!」
須磨さんは目を潤ませ、
あまつさえ声を震わせる。
ぐすっと鼻を鳴らし、
「睦さんは優しいですー…」
それでも金平糖をポイポイ口に放り込んだ。
…可愛い人。
「どうしたらそんな人になれるんですかー?
やっぱり育ちがいいんですかねー」
溢れそうな涙を指先で拭いながら
須磨さんは嬉しそうに笑った。
「ふふ、ありがとうございます。
そんなふうに言ってもらえると
両親の顔も立ちます」
その時、私の脳裏には
おじちゃんとおばちゃんの
笑っている姿が浮かんでいた。
私が誰かに褒めてもらった時、
同時におじちゃんとおばちゃんが
褒められたような気になるのだ。
なのに……
「睦さんを産んだ方ですもん。
素敵な方に決まってます!」
拳を握り力強く言った須磨さんに
私は凍りついてしまった。
そっか…
そうだよね、
普通は…
両親、って言ったら、
実の親だと思うよ。
もらわれた子だなんて
考えないよね。
「…睦さん?」
力の抜けた拳をテーブルに置いて
須磨さんは私を覗き込んだ。
…いけない。
「あ、…すみません、」
本当の事なんか話せない。
宇髄さんには、あんなに簡単に話せた事が
他の人相手となるとまったく駄目で…
私は震えたりしないように
必死で全身に力を入れた。
平静を装わなくちゃ…
「ごめんなさい…
何か悪いこと言っちゃいましたか…」
「いえ!両親の嬉しそうな顔が浮かんで…
それだけです。
最近会ってなかったなぁって思ったら
ちょっと会いたくなっちゃいました」
「そうですよねー…、
天元様の留守にお出かけするわけにも
いきませんし、…
だけど自由に会いに行けないのは
ちょっと淋しいですね」