第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
「それに、須磨さんの元気な所に
救われる事が多々あるんですから…」
「へへー、ありがとうございます」
須磨さんはテーブルに手をついて
小皿に盛った金平糖をポイッと口に放り込んだ。
カリカリといい音をさせながら
「睦さん、
さっきから何作ってるんですかー?」
須磨さんは私の手元を覗き込む。
「リボンです。
素敵な端切れを買ってもらったので
お店に置いてもいいかなぁなんて思って…」
縫っている途中のそれを
開いてみせると
「すごい…!きれいですー」
須磨さんは目をキラキラと輝かせた。
私が今縫っているものは
淡紫色の高級な縮緬だ。
とっても綺麗な色。
長い棒状に縫い合わせたそれは、
髪を結い上げてもいいし
下げ髪に合わせても可愛らしい。
手提げの持ち手にくくり付けても
お洒落な気がする。
リボンは割と人気があるのだ。
現に須磨さんも、目を輝かせているし。
「…おひとつ、差し上げましょうか?」
「え…ッ!」
須磨さんはパッと笑顔になって顔を上げたのに
次の瞬間、スッと真顔に戻り
「いえ!いいです!そんなズルしないで
ちゃんとお店に買いに行きます」
ふるふると首を横に振った。
「えぇ…?いいじゃありませんか、
お友達のよしみという事で…」
「だって私にくれるってことは
雛鶴さんとまきをさんにもあげるでしょう?
そしたら3つ分、睦さんは
タダ働きした事になるんですよ?
こんな素敵な物を作り出す労力を
無駄にしたって事になるんですよ⁉︎」
「大袈裟です…」
「睦さんは
自分の力を軽く見過ぎなんですよー」
「えぇ?どういう事ですか…?」
「睦さんの作り出す物は
本当に素敵なものばっかりなんです。
だからそんな安売りしちゃダメですよ?
お金を貰う価値があるんですから」
お金…
「須磨さん達との関係は
お金じゃどうにもなりません」
「え…?」
予想外だったのだろう。
須磨さんは大きな瞳を
これでもかと見開いた。