第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
強い風が、ガラス戸を打った。
ガシャガシャと揺れるそれを見ながら、
「雨戸も閉めてるのにすごい風ですねー」
須磨さんがぼんやりと言う。
宇髄さんはお仕事。
雛鶴さんもまきをさんも
一緒に出かけて行った。
「ごめんなさい須磨さん。
ほんとなら
須磨さんもお仕事行くはずでしたよね。
私のせいで残る事になっちゃって…」
私は縫い物の手を止めて
須磨さんと向かい合う。
すると須磨さんはにっこりと笑ってくれた。
「大丈夫ですよー!
私が行ってもあんまり役に立たないですし
睦さんと一緒にいられる方が
楽しいですから」
「そんなわけありませんよ。
優秀だって、宇髄さんいつも褒めてます」
「えー雛鶴さんとまきをさんは
優秀ですよー?」
…謙遜、してるわけではなさそうだ。
みんなの仕事っぷりを見る事はできないから
私には知り得ないところだけど…
「3人とも優秀だって」
「技量があるかどうかは
自分がよくわかってます!」
そんな事をにこにこいう須磨さん。
別にお世辞を言っているわけではない。
彼が言っていたまんまを伝えたまでだ。
「いいんです。本当の事なので。
だけど天元様はいつも
こんな私を見捨てずにいて下さるから
それだけでいいんです。
まぁ…申し訳ないですけど」
……そっか。
宇髄さんの愛が大きく広がってる気がする…
なにがあっても笑っているし
人の気持ちにも寄り添えて、
優しくてあったかくて…
要は人たらしなのだ。
なぁんて、惚れた欲目かな?
いや、それを抜きにしてもだ。
「宇髄さんにとって
どれだけ大切な方たちなのかっていうのが
すごくよく伝わってきます。
羨ましいくらい」
だからそんなふうに言わないで。