第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
まずい。
非常にまずい。
「こんな所で宇髄さんがケガでもしたら…」
「しねぇって。俺強いだろ?」
震える声を遮って
何とかそう告げると
「知ってますけど、」
睦は既に泣いてしまいそうになった。
「睦にケガがなきゃいいんだって。
守れてよかった」
「それで宇髄さんがケガしたら
ちっとも嬉しくありません。
私だけじゃだめなんです」
「あー…わかった悪かったから」
「ほんとにわかってますか⁉︎」
「わかってるって。でも、
連れて歩いてる女にケガなんかさせたら
俺の沽券に関わるだろ」
「そんなもの、一文の得にもなりません!」
「いやわかるけどよー…
俺にかっこつけさせてくれよってハナシ」
「…つけなくても、かっこいいくせに」
不機嫌そうな呟きは、俺の心を軽くした。
「わー、どうした睦。
そんな嬉しいこと言ってくれんの」
浮かれ切った俺が
「もう1回言って」
調子に乗ると
ぐすっと鼻を鳴らし
睦は俺の胸を拳で殴りつける。
だめだ、本気で泣きそうだ。
「じゃほら、もういっこ、なんか買いに行こう」
「もういらない」
…ご機嫌取りは上手くいかず、
「ならどっか行ってみたいとこならあるだろ」
「もう帰る」
結果、ガキみてぇな返事をされた。
それはそれで可愛いから
俺は満足だけども…
「…帰っていいのか?」
せっかく出てきたってのに。
「いい。外こわいです」
「あー…」
ここ数日の不安が増幅したか。
「わかった。帰ろうな」
そう言ってやると
やっと俺から離れて
うん、と頷いたのだった。