第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
「せっかくゆっくりする時間が出来たんだし
自分の好きな事に充ててもいいはずだ。
俺んとこにいる間に
この端切れで何が出来るか楽しみだなぁ」
わざとそんな言い方をしてやると、
ぱあっと笑顔を咲かせて
「作ってもいいんですか⁉︎」
俺の腕にしがみついてくる。
表でそんな事をするなんて珍しい。
人目を気にする睦は
外では余計に、俺にくっつこうとはしない。
それなのに飛びついて来た…。
咄嗟の事とはいえ
よっぽど嬉しかったと見える。
「そのために買ったんだ。
存分に作ってくれ」
「買ってくれた端切れ、
どれもきれいな柄ばっかりでした!
楽しみだなぁ…!」
ここまで喜んでもらえるなんて
こちらとしても大満足だ。
上機嫌ついでに、
腕に掛けられた睦の手を巻き込んで
肘をきゅっと曲げる。
腕を組む格好だ。
挟まれて手を抜く事ができない睦は
無言でそこを凝視めた。
…そこはかとなく、何か言いたそう…?
やっぱり
こんな往来じゃはしたない、
とか思ったりするのかな。
「……」
だけど、
「へへ…」
ふにゃっと笑った睦を見るに…
——嬉しそうにしか見えなかった。
えー。
「嬉しい?」
まさかな、と思っていたのに
返事はしないがにこにこで頷く…
「このまま歩いたりして…」
「うん、」
「…みんなが見てるぞ?」
「誰も見てませんよ、私の事なんか」
「へぇ…」
こりゃ驚いた。
本当に浮かれてんだな…
ていうか、
そんなに俺のこと好き?
恥ずかしがってなかなか言葉にしない睦。
その代わり、態度があまりにも健気だ。
腕組むくらいじゃ足りねぇな…。
ふわふわな気持ちを抱えたその時だった。
「いたぞ!捕らえろ‼︎」
町の喧騒の中、
一際高い声が上がった。
叫んだのは制服だ。
いや。警察?