第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
「宇髄さんのしたい事って言うから
私てっきり宇髄さんに関係する事だとばっかり
思ってたんですけど…」
「…俺に関係してるだろ」
「私が好きなものばっかりです」
「睦は俺のなんだから、
その睦が好きなものなら
俺にも大いに関係あるんだよ」
そう、睦が持っているのは
手当たり次第に買いあさった数々の甘味。
そして俺が持っているのは
彩り豊かな反物の端切れだ。
店を開けられない睦。
俺の所にいるだけでは時間を持て余すだろう。
その時間を、家事に充てるに違いない。
そんな事をさせる為に
俺の所に居させるワケではないのだ。
家事をしてくれるのは助かる。
メシなんか本気で嬉しいし、
睦がしてくれた洗濯物は
心なしか柔らかくていい香りがする…
ような気さえするくらいだ。
そんなの気のせいだし
単なる病気であることくらい百も承知だ。
だが…
気のせいだろうが何だろうが
俺がそう感じていい思いをするワケだから
いいだろ別に!
……いやいや、そういう事ではなく。
自分でも言っていた通り、
張り切った末に作りすぎた朝餉は
その量を感じさせない程の
優しい味付けと美味さで
ペロリと完食してしまった。
ただ、やっぱり満腹は否めず、
腹ごなしに散歩でもしようという話になり
ならそのついでに、
俺のしたい事に付き合ってくれと
提案をしたのだ。
睦は2つ返事で了承をし、
町まで出て来たというわけで…
ただその『俺のしたい事』というのが
『睦への贈り物を買う事』だったのを知り
戸惑いを隠せない様子でいるのだ。
「こんなにどうするんですか…」
「好きにしな。全部お前のモンだ」
チラッとその表情を窺うと
困りながらも満更でもなさそうに見えて…
買ってやったのも間違いではなかった、かな?