第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
「悪ィ。ンな本気になってやってくれるとは
思わなかったんだ、ありがとな」
可愛らしい姿を思い出して
つい笑ってしまった俺に同調し
つられて微笑んだ睦は
きゅうっと俺の首に抱きついた。
小さい身体とはいえ、
不意にそんな事をされると
さすがの俺も引っ張られてしまい、
それでも体制をなんとか保った所へ
「朝から一緒って嬉しいな…」
浮かれまくった様子の睦が
更に強く擦り寄ってくる。
「あぁ、俺も嬉しいよ」
背中をトントンとさすってやると
ひどく心地良さそうに目を閉じてから、
「そうだ、ごはん」
ふと我に返る。
あらら、もうオワリか。
しょうがねぇ、
「んじゃ顔でも洗ってくるかね、」
睦の背に回した腕に力を入れて
同時に立ち上がった。
「はい!じゃあその間に
布団、干しちゃおうかな…?」
綺麗に畳まれた自分の布団と、
起き出したばかりで敷かれたままの
俺の布団を見遣る。
「こら、何でも全部やろうとすんな。
力仕事は俺がやってやるから、
睦はほら、配膳配膳」
肩を掴み、くるりと回れ右をさせてやると
顔だけ振り返り
「はーい。よろしくお願いします」
素直に俺に任せてくれた。
…よっぽど、不安を抱えていたんだろうなぁ。
それがいっぺんに払拭されたかのようだ。
久しぶりに心が軽くなった分、笑顔が多い。
やけに素直だし、
ちゃんと甘える所は甘えてくる。
ヘンに意地を張らない所は大変よろしい。
いそいそと部屋を出ていく背中を眺めながら
うんうんと、1人頷く俺だった。
「本当にこんな事してていいんですか?」
少しだけ居心地悪そうに
睦が俺を見上げた。
「いいに決まってる。
たまの俺の楽しみだ。
付き合ってくれるんだろ?」
「確かに…そうは言いましたけど、まさか
こんな事になるとは思ってなかったから」
睦は俺の片手に下げた袋と
自分の手にある袋を
困り顔のまま交互に見遣る。