第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
「珍しいな、寝坊しねぇの」
いつも俺と迎える朝は
一緒に遅くまで布団の中にいるのがお約束。
「はい…」
ちょっと照れくさそうな仕種で
「ちょっと…浮かれてるっていうか…
目が冴えちゃって…」
睦はえへへと笑った。
そんな顔が見られたなら
この判断は正しかったかな…
「嬉しそうで何よりだ」
俺まで嬉しくなってくる。
「うん…!」
俺の手を握り返して
「張り切りすぎて、
朝ごはんたくさん作っちゃいました。
食べてくれます…?」
やっぱり恥ずかしそうに言う。
そんなの、答えはわかりきってるだろうに。
照れ隠しにしたって
あまりにも言い訳じみている。
「全部食う」
「そう言ってくれると思った」
「そうだろうな」
「ふふー。ね、起きて起きて」
機嫌がいいな。
いつもと違う状況に
はしゃぐ気持ちはわからないでもない。
それにしても無垢というか純粋というか…
「ん。起こして、」
甘えて両手を伸ばすと、
「えぇ?」
大きく目を見開いてから
「はいはい、」
ふわりと笑った。
俺の手首を掴んで
上体を思い切り反らして引っ張る…
ただ…
引き起こせるワケがない。
わかってて言ったんだけど、
まさかホントにしてみてくれるとは思わず…
また本気でやってるのが可愛いな。
俺の腕を引っ張る力より、
掴んでる力の方が強ぇだろ…
それじゃ俺が締められてるだけで
夜になっても起き上がれねぇだろうなぁ…
「うっずい、さん…むり…!」
……ようやく気づいたか。
「はいはい」
ムクリと自力で起き上がると、
全身で俺を引っ張っていた睦は
それに比例して仰け反って行き
「うわぁ…!」
座っていた足が崩れて
畳に倒れてしまいそうになった。
「おっと、」
既(すんで)のところで腕を振り解き
抱き留めてやると
「あぁ、びっくりした…」
心底ホッとしたように呟いてから
俺の腕を支えにして
真っ直ぐに座り直した。