第46章 .☆.。.:.贖罪。.:*・°☆.
またまた…。
そうやって簡単に私を甘やかす。
喜んじゃうから…。
「…笑った」
宇髄さんはしてやったりといった様子で
私の髪を梳いた。
「わざと…?」
「なぁにが?」
…そっかぁ。
私が怖がってたから。
「ふふ…ありがとございます」
「何の事かねぇ」
飽くまでシラを切る彼に、
私はもう逆らうのをやめた。
野暮な事はすまい。
「あぁ……このまま寝たい…」
温かい胸の上に乗ったまま
優しい鼓動を聴きながら眠れたら
とっても幸せな気がする…
うつ伏せの体制で
そこに頬を乗せると
「寝るの⁉︎」
弾けるような彼の声がして
驚いた私はパッと顔を上げた。
「寝ないの⁉︎」
「寝かせると思う?」
「おも……う、」
「不正解」
逞しい両腕が私の全身を守りながら
ころっと横臥した。
「毎回毎回、お前は甘いのヨ」
口撃は寸前で塞がれ
反撃の手は捕らわれる。
この人と、
ひとつ屋根の下の生活が続くのかと思うと
ちょっと怖いような気がして
もしかして早まったんじゃないかと
少しだけ頭を悩ませるのだった。
「おはようございます」
可愛らしい声と、
トントンと肩のあたりを叩かれた衝撃で
目を覚ました。
開け放たれた縁側からは
惜しみない陽光が差し込み
その眩しさに明順応がなかなか出来ず…
ただこの声の主はこの世に1人しかおらず、
肩口に充てられたままの小さな手を
きゅっと握ってみる。
「…はよ、」
柔らかな手触りは
俺の意識をどんどん現実へと
引っ張って行った。
「おはようございます。
起こしてごめんなさい」
「いや、いいよ……早いな、」
膝をついて座る睦は
きっちり身なりを整え、
しかもエプロンまでしている…
若奥様…?
いやまだだけど。
そのうちそうなる予定ではあるが。
何にせよ、反則級に可愛い。
目だって一気に冴えるってモンだ。