第45章 .☆.。.:.笑って。.:*・°☆.
「米?研ぐのか?」
研ぐだけではなく、
「炊いてほしいです!」
「そっかぁ。でも俺、
お前の相手に忙しいんだよな」
渋る宇髄さん。
……
「…宇髄さんが炊いたご飯、
食べたいです」
「よしわかった」
「アホなのかァ……?」
憐れみ溢れる言葉が聞こえた…
私にさえ聞こえたのだから
耳のいい宇髄さんには間違いなく聞こえたはず。
「愛しい女のためなら
なんにでもなれるのよ」
さらりと言ってのける宇髄さんに
不死川さんはため息しかなかったようだった。
「睦の作るメシはよォ…」
煉獄邸。
縁側で、ようやく温もりを含みだした夜風に
2人で当たりながら、
俺は食いすぎた腹をさすっていた。
「つい食っちまうなァ…」
腹8分目…
今日の俺にはそれができなかった。
あー、満腹になったのなんか
いつ以来だろうか…
「そうだな!彼女の優しさと強さが
しっかりと感じられるものだった。
また食べたいものだ!」
こいつは俺以上の量を平らげたくせに
ケロッとしてやがる…
相変わらずの底抜けだ。
「ハラ平気なのかァ」
「腹?」
訊くだけ無駄だった。
「いや、いい。……だが、
睦は平気じゃねえだろうなァ…」
「どういうことだ?」
千寿郎の用意した茶をずずっと啜りながら
ん?と首を傾げる。
どうせ話した所で
煉獄には通用しねえだろうと
思いつつ…
「今度はあいつが料理される番って事だ」
「………」
星空を見上げ、足元を見下ろした煉獄は
パッと顔を上げクルッとこちらを見た。
「君は賢い男だが
稀に訳の分からない事を言うのだな」
そうだろうな。
この男にわかるわけがない…
色恋には疎そうだし。
その分、
想い人ができた時が見ものだ。