第45章 .☆.。.:.笑って。.:*・°☆.
「何故部屋に戻らないのだ!」
「今戻ってみろよ、
修羅場だったらめんどくせえだろ」
「不死川ならうまく和解させられるだろう」
「何で俺が
あいつらに使われてやらなきゃなんねェ」
「君がそう望むからだ!」
「ンなワケあるかァ」
「睦が笑う為なら何でもするだろう?」
「ぅ……」
「優しいな不死川‼︎」
「声がでけェんだよ!いっつもいっつも!」
「で、ずっとここにいるつもりか!」
「いや…あー…」
「本当に俺たちで作るか!」
「何で俺らがメシなんか作るんだァ」
「睦ならきっと喜ぶからだ!」
「睦が…喜ぶのなら…悪くねえな…」
「そうだろう!」
………そんな会話が繰り広げられる台所。
本当なら、
ぱーっと入って行って
とっとと謝って
お詫びに私がご飯作りますって
言うはずだったのに……
ついニヤけてしまう程の
優しさ溢れる会話に、
私は出て行くタイミングを失っていた。
いやいや、
喜んでいる場合ではない。
そろそろ出て行かなくては
隠れて聞いてましたなんて事がバレた時に
大変な事になる。
それとも、
本当に作ってもらおうか…?
だって煉獄さんの言う通り、
私のためにこの2人がご飯を作ってくれるなんて
本当に嬉しくなるからだ。
それも悪くない。
だけど、私もこの2人にお礼がしたい。
それを伝える術は、
私にはひとつしかないのだ。
「不死川さん、煉獄さん!」
意を決して
私は2人の会話に割り込んだ。
「おォ、睦かァ」
「睦!もういいのか⁉︎」
「はい。あの…
いろいろみっともない所をお見せしてしまい
本当に申し訳ありませんでした」
私は2人の前でぺこりとお辞儀をする。
いいよ、とその類の言葉を期待していたのに
「おォ、ほんとだなァ」
そんなふうに言われて愕然とした。
しかし、その言葉に
笑いが含まれているのを感じ取り
ホッと息をつく。