第45章 .☆.。.:.笑って。.:*・°☆.
「…睦、お前が何しようと
俺は怒らねぇ自信があるんだけど?」
「……」
ごくりと生唾を飲み込み
睦は覚悟を決めたのか
再び口を開いた。
「私、訊いてしまったでしょう?
兄弟って、どんなものかって…」
「あぁ、」
そんな事もあった。
…あん時も、
まともに答えてやれなかったよな。
「あんなこと、訊いてしまったから…
ごめんなさい…」
「んー………なにが?」
訊いたからごめん?
…いや、わからねぇ。
「だって、訊いたらいけない事でしたよね?」
顔を俯かせていたくせに、
更に膝を抱えて、
さっきと全く同じ体制を取る。
「俺が答えられなかったからか?」
答えられない事を訊いたからって
こんな泣くほど落ち込むとは思えねぇな。
何がごめんだったのか、
いまいちわからねぇな…
「…だって…ご兄弟の、
お墓参りだったって…聞きました…」
「おい、誰がそんな話お前に聞かせた」
無意識に声を低くすると
睦はビクッと肩を跳ねさせ
「たまたま…聞こえてしまっただけで…」
声まで震わせた。
……はぁ。
「そうかよ……まぁ確かに。その通りだよ」
「それなのに、ご兄弟っていいですねなんて
バカみたいに能天気なこと言っちゃって…」
「……あぁ!だから俺が怒ってると思ったのか」
ようやく合点がいったが、…。
「俺そんな事で怒らねぇけど…」
「でも、…気は悪くしたでしょう?」
「いや?してねぇよ」
「悲しくなったり…」
「しねぇって」
「えぇ?」
困った睦は
ゆるっと顔を上げる。
あ、やっと目ぇ合わせた。
でもそりゃあひでぇ顔だ…
「あーあ、こんなになるまで泣いて…
そんな事で俺が悲しくなったり
機嫌悪くなったりするワケねぇだろ」
真っ赤に腫れ上がった目元をそっと撫でると
顔を上げた事を後悔するように
また俯こうとする。
一旦こっちを向いた以上、
もうそうはさせねぇけど。