第45章 .☆.。.:.笑って。.:*・°☆.
帰りは、一緒である必要はない、と
判断したに違いない。
実際、3人でゆっくり
帰りたいだけなのかもしれない。
でも、帰ればそこには睦がいる。
だから、とっとと1人で帰りなさいと
そういう事なのかなぁと
俺は勝手に考えていた。
大切なヤツらから
大切にされていると感じると
とても幸せな気持ちになるな。
心からありがとうと、…
こんな俺にも
優しい気持ちが湧いて来る。
そんな気持ちに後押しされて
帰って来たのは我が屋敷……
ではなく
こぢんまりとした一軒家だ。
ただ、睦の気配はなく、
ピンと来た俺は
迷う事なく煉獄邸へと向かっていた。
玄関先に立つと、
わぁんという、睦の泣き声。
あれ…
やっぱなんかあったのか。
玄関の引き戸をカラリと開けると
より鮮明になる泣き声。
こりゃあいよいよいけねぇな。
そう思った俺は
「れーんごーくくーぅん」
わざとマヌケな声を上げた。
睦の泣き声の邪魔をしたかった。
しばらくして
音もなく姿を現した煉獄が
「早かったな!」
ホッとしたようにため息をついた。
「あぁ、ただいま。
世話かけたな、すまない」
「俺たちは大丈夫だ。
早く行ってやってくれ。
アレは君のために泣いているのだ」
煉獄の言い方が引っかかる。
少しだけバツの悪そうな…。
「…バレたのか。悪かったなぁ」
俺が何をしに行ったかが、
睦に知れてしまったのだろう。
「いや、こちらの落ち度なのだ。
申し訳なかった」
素直に頭を下げる煉獄。
何があったか知らねぇが
この男のせいにする気はねぇ。
「頭上げてくれ。もともとは
俺が隠したりしたから悪かったんだ」
しつこいようだが
話す気はねぇけどな。
俺は履き物を脱ぎ、
睦のいる部屋へと向かった。
……ん?
さっき、
「俺たち、って言ったか?」
「ああ!」
……いるのね、
「俺が呼び寄せたのだ!
その方が睦も和むと思ってな!」