第45章 .☆.。.:.笑って。.:*・°☆.
いや、
睦は軽蔑なんかしねぇだろう。
むしろ、ちゃんと話さねぇ方の俺を
軽蔑するのかもしれねぇ。
それでも、…まだ話せねぇ。
俺にとってはまだ
過去の話じゃねぇからだ。
なっさけな。
みっともな。
でも、睦にも話せねぇのは、
違うんじゃねぇかって
ずっと思ってるんだ。
あいつは俺を頼って何でも話してくれる。
俺がそれをしなかったら、
睦を信頼してねぇみてぇだろ?
それだけは違うから、
どうか思い違いだけはしないでほしい…
話してぇけど話せねぇ。
あいつの前では、
カッコイイ俺で居たいじゃない?
なんつって。
都合いいハナシだ。
来なくていいよと散々断ったのに、
絶対行くと言って
ついて来てくれた可愛い部下たち。
早く済ませたい俺は
とっとと目的地に向かいたかったが、
3人の体力も考慮すればそうもいかねぇ。
俺の勝手で
無理させるわけにはいかなかった。
しかし結局、3人に急かされる始末。
向こうも、
俺のことを考えてくれていたという事だ。
きっちり、花を手向けてくれた。
…ありがたい事だな。
桜に包まれた墓石を眺めながら、
そんな事を思う…
「天元様は早く帰ってあげて下さい」
「私たちは寄りたい所もありますし」
「ゆっくり帰りますから」
俺の気持ちを察して、
3人は俺に譲ってくれた。
——全部わかってるんだ。
俺が断っても断っても、
3人がここまでついて来た理由。
そのくせに、俺を先に帰そうとする理由も。
向こうに残って、
睦の相手をする選択肢もあったのに
そうしなかった。
俺がこの事を
睦に話せずにいる事を知っているからだ。
あいつと共に、この地を訪れる事ができない。
俺を1人で
ここに来させない為に。
みんなで、背負ってくれる為に。
つらいことを、分け合おうねと
言われている気になった。
1人じゃないからねと。