第45章 .☆.。.:.笑って。.:*・°☆.
「宇髄を思えばこそだな!」
笑顔でそんな事を言われると
泣くのを容認されたような気になって
私の気は余計に緩んだ。
でも暗に、泣きすぎだからもうやめてと
言われているような気もして、…
不死川さんも私が泣くの苦手そうだし、
涙を止めようと、私はクッと息を詰めた。
私だって、
こんなに泣くとは思っていなかった。
そろそろどうなんだろうと思うのは思うのだ。
するとすかさず、
「ばァか、誰が泣き止めなんて言ったんだよ」
そう言いながらプッと笑いを漏らして
不死川さんは少しだけ強めに
私の背中を叩く。
「どうせなら全部、
吐き出しちまった方がいいぞォ?
今を逃したら、また溜まってく一方だろ」
なのに不死川さんが
また甘やかすような事を言うから
「さっきは…泣くな、て…言ったくせに…!」
背中に充てられた不死川さんの手から
身をよじって逃げた。
軽く睨めあげると
「そん、な目ェすんなよ」
少しだけ怯んで顎を引く。
「どっち、なんですか…っ」
泣くなって不死川さんが言うから
堪えようとしたのは事実。
なのにそんな事を今更言われたら
まるで揶揄われていたみたいな気になってくる。
「悪かったから。ンな顔すんなって。
しょうがねえだろォ、
泣いてほしかねえが
泣かしてもやりてえんだよ」
なによそれ。
わけがわからない。
「あぁ…不死川が泣かせたな!」
余計に泣き出した私を見て
にっこにこで
罪を不死川さんになすり付ける煉獄さん。
…いや、なすり付けるだなんて。
もともと煉獄さんに罪はないけれど。
いやいや、不死川さんにも、ないけれど。
「悪ィのは俺じゃねェ、宇髄だろうがァ」
罪なき不死川さんが声を荒げた。
でも宇髄さんのせいかと言えば、
それも違うような…
「違います…私が、あんな事を
宇髄さんに言ったせいです…」
しくしくと泣き続ける私を
何とかしてやろうという気が伝わってくる。
それはそれで申し訳ないが、
私は落ちに落ちているのだ。
もうどうにもならない。
「お前は被害者だ」
「そうなのか!」
「そうだろうがァ。
元はと言えば、
あいつが睦にちゃんと話していかねえから
こんな事になったんだァ」