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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第45章  .☆.。.:.笑って。.:*・°☆.






煉獄さんは慌てながらも
どこか嬉しそうだ。

「君は、いいのか?」

「このまま1人で帰っても
不安ばかりが募って
何も手につかないと思うんです。
不安に押しつぶされてしまうのも怖いので…
出来れば…ご厄介になりたいといいますか…」

「そういう事なら是非!
睦を不安にさせたのは
俺のせいでもある!
その責任は取らせてもらいたい!」

「いえ、煉獄さんのせいではなくて…」

ただ私が弱いだけのこと。

ありもしない事をあれこれ考える
この悪いクセのせいなのだ。

だけど、
煉獄さんのせいだって言っておけば
いろいろ都合がいい…なんて、
私もずるい事を考えるなぁ…

「いや。そういう事にしておくといい」

私の心の中を覗いたかのような…
そんな台詞を口にして
煉獄さんは優しく笑った。

「睦は何か理由がなければ
きっと自分を責めてしまうだろう?
俺のせいにして心穏やかにいられるのならば
俺は喜んで悪者になるぞ」

こんなに素敵な人を相手に悪者、だなんて
とんでもない事だ。
だけど…

今はそれに甘えていたい。
それほどまでに、不安な気持ちに苛まれていた。





「粗茶ですが…」

そう言って、少し幼い煉獄さんが
私の前に茶碗をそっと置く…

…可愛い。

可愛いと言っても、れっきとした男の子だ。
そんな事を言われたら
きっと傷ついてしまうだろう。

彼単体で見ていたなら
私だってそんなふうには思わないはず。
この男の子を
可愛いなんていう目で見てしまうのは
間違いなく、煉獄杏寿郎効果だ。


煉獄さんがお着替えのために席を外している今
この客間にいるのは
私と、幼い煉獄さんのみで……

「…あの、失礼ですが、…
千寿郎さんでいらっしゃいますか?」

「はい!煉獄千寿郎と申します」

畳に手を突き
礼儀正しくお辞儀をする千寿郎さん。

「つかぬ事をお聞きしますが…
おいしい牛鍋屋さんをご存知ですか?」

「え?牛鍋……いえ、特には存じません」

千寿郎さんの表情を見る限り
嘘はなさそうだ。
むしろ不思議そうにしていて、…
私の事をぼんやりと眺めている。


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