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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第45章  .☆.。.:.笑って。.:*・°☆.





「1人はいいけどなぁ、
もう1人は、俺が居たら
ホントの事なんか絶対ぇ言わねぇぞ」

「そうでしょうか…」

「そうだね。屋敷まで送ってはやるが、
俺の相席はオススメしねぇな…」

そう言って私の耳に口づけをする。

「あ…ッ、ちょっとやめて下さい。
もうお茶淹れますから…」

「いつ行くんだ?」

「えぇ…っそん、なの…決まってません」

急がなくちゃいけないような事じゃない。
私の興味の範囲なのだから。

「そうなのか…」

少しだけ意外そうな声に聞こえて

「おかしいですか?」

きゅっと後ろに首をひねる。

「いや、今すぐにでも
飛び出して行っちまいそうな感じだったから」

「まさか。今日は宇髄さんに会い、に…」

あぁ……

「来たので……」

また、言ってしまった…。
後から照れるくらいなら
言わないように気をつけたらいいものを。

「俺、お前のそういう可愛いとこ大好き」

ご機嫌で私の頬に
いくつも口づけを落とす宇髄さんに、

いくら照れても
この人が喜んでくれるなら
悪くはないなと思い直す私だった。








その数日後——


店を閉めるのに手間取って
帰りがすっかり遅くなってしまった日の事だ。


桜舞う、春の宵。

暗くなる頃の風はまだ冷たい。
でも真冬のような底冷えはしないだけ
まだマシだった。

通りは家路を急ぐ人がチラホラ。
少し前だったなら
もっと人で溢れていただろうけど。

ほとんどは店仕舞いしていたけれど
飲食店やビアホールは開いていて
たくさんの人が集まっていた。

その店の明かりが道に落ちていて
私はそれを眺めながら歩いた。

明るい所は賑やかな声が、
暗い所は静寂が…

順繰りにやってくるその光景を楽しみながら
家までの道を辿って行った。

鼻歌なんかを歌いながら
1人歩いていると、

「ごちそうさま!」

と、威勢のいい声が耳に届いた。

………聞いたことある。

そう思って顔を上げると、
ちょうど差し掛かった店の暖簾から、
よく知る顔が覗いた。

「睦‼︎」

私の顔を見るなりにっこりと笑ってくれる。

「煉獄さん…」


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