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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第45章  .☆.。.:.笑って。.:*・°☆.





私の手を握るその手首を掴んで
離してもらおうとすると、
強い腕の力でくるりと向きを変えられて
今度は背中からぎゅっと抱きしめられた。

両腕ごとくるまれてしまい
身動ぎひとつできない状態だ。

「…その顔やめろって」

「えぇ…?」

「今すぐ、俺のモンにしたくなる、
って言ってんの」

「っ…なにを…!」

またそんなことを言って…


だいたいここが何処なのかって、
宇髄邸の廊下です。

お店も休み、彼も非番。
たまにはおいでと誘われて
さっきここへ到着したばかりの私は
手土産の手作りおはぎを食べるため
お茶を淹れに行く所だった。

それにわざわざつきあってくれる彼に、
ここへくる途中に出会した
幼い兄弟の姿を思い出し、
何とは無しに訊いてみた次第だ。

「わかってるから、ちょっとこのままいろ」

湧き上がる熱を抑え込むように
宇髄さんはしばらくの間、
私の身体を強く抱きしめる。

私はかける言葉も、…
身動きすらとれずに
ただ彼の腕の中で時が過ぎるのを待っていた。

少しして落ち着いたのか、

「模範的なヤツらがいるだろう」

小さな呟きが私の鼓膜を震わせる。
唐突過ぎて何の話か
ついていけない私に、

「世の兄貴代表みてぇなのがいるよな、」

助言を加える宇髄さん。

…最初の話の事を言っているのだ。

「代表……」

確かに、知ってます。

知ってるけど…

「一緒に、来てくれますか…?」

「なんで?」

なんで、と言われると。
はっきり言葉にするのも申し訳ないけれど

「ちょっと行きづらいといいますか…」

この歳になって人見知りもない。
だけど、まだ数回しか会ってない人に

兄弟ってどんな感じですか?

なんて、聞くのもヘンな気がするのだ。
だって家族の事って、
結構踏み入った話だから。

宇髄さんも、話したくなかったくらいでしょ?

「そういうコトね…。
睦が遠慮するような奴らじゃねぇよ。
お前だって、何を今更…」

そりゃあね、
私だってかなり図々しい態度を
取ってきましたけども。

だって優しいから、
つい甘えたくなってしまうんだ。
許してもらえるという信頼のもと…。


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