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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第45章  .☆.。.:.笑って。.:*・°☆.






とりあえず、この繋いだ手を
グッと押してみる。
でもその力を綺麗に受け流し、
結果、ものともされなかった。

ならばと、もう片方の手で、
彼の胸を押してみる。
すると今度は離すまいと
背中に回った腕に力が込められた。

しかも、
私が離れたがっている事を察して
むしろ口づけを深められてしまい、

そうなると…

拒む術も、困難を極める…。

恥ずかしいけれど、
嫌でない事に最近気がついたから。


「…やっと、逃げなくなった」

離れた口唇が、嬉しそうに言う。
この、唇が触れ合った状態で話すの
やめてもらいたい。

「……」

わかってるのかな、
この人のひとつずつの行動が
私をおかしくしていく事。

「そんな顔されると、
余計に離したくなくなるんだけど」

きゅっと目を細めて
何かを堪えるような表情になる宇髄さんに
心臓が一気に慌ただしくなった。

自分こそ、そんな顔しないでほしい。

この人が切羽詰まると、
ただでさえ余裕のない私が
追い討ちをかけられるのだ。

すぐに流される私を
この人が止めてくれなくては
私はもうどうしようもなくなるのだから。

「そんな色っぽい顔されると
煽られてる気分になるな…」

「そんな事、してません…!」

片手が不自由なまま
背中を更に強く抱き寄せられて、

この人が止まる気がないのなら
せめて私から意思表示をと
肘下を彼の肩に沿わせて
力を込めて押しやった。

「もう…オワリ?」

「終わりです…」

「もう1回は…?」

「…っダメです」

「もっとさせて」

額を擦り合わせて甘えて強請る。

「や…ダメですってば」

「理由を述べよ」

「えぇ…っ…は、離れ、たくなくなる、から…」

「…は、……?」

額が離れ、目はまん丸。
まじまじと凝視められるのと
自分が言ってしまった事の恥ずかしさとで、
全身の熱が顔に集まって行くのがわかる。

「わす…忘れて下さい!」

あまりにも正直に言いすぎた。
最近気づいたばかりの気持ちを曝すには
まだ時期が早すぎたみたい。
心臓が持たない!


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