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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第44章 .☆.。.:.夏色.。.:*・°☆.





「悪ィ…こんなんじゃ居心地悪ィよな…」

私の背中に、
そんな言葉がかけられた。

ツと足を止める。
立ち止まったのは
さっきと同様、腕を掴まれたからだ。

キッチンへ行きかけていた私の腕は
後方へと引き上げられる形になっていて
不自然なその姿勢に…
彼の手が触れた箇所に…
私の意識が集中する。

シンとした空間に、
私の心臓の音が漏れ聞こえてしまいそう。

「…だい、じょぶだから…離して」

「やだ」

「……」

「実際、逃げ場作ろうとしてる」

「してない」

「腹も減らねぇのにプリン食うんだろ」

バーレバレ…。

その通りですよ。
間がもたないからプリン食べますよ。
でも、それはなんか悪いのかい。

「食べたくなったんだから。
…だいたいさ、」

「あぁ?」

「何の用があってここまで来たの」

彼に背中を向けたまま
少し突き放すように言うと、
私の腕から
ズルリと彼の手が滑り落ちた。

「俺が…」

あれ、声震えてる。
泣く?…わけないか。
でも、…

私が慌てて振り返ると、
多分項垂れていた彼もパッと顔を上げ

「俺がこんなに心配して来たってのに!」

「えぇ⁉︎心配ってなにを…」

「メッセージ!」

メッセージ…?

「送っても送っても返事が来ねぇ、
既読すらつかねぇ!
もしかしたらぶっ倒れてんのかとか
余計な事まで考えちまうだろうが!」

「あぁ…」

「あぁじゃねぇよ!
心配したっつってんだぞ!」

「心配、してくれたの…」

心配?…私を。

「なんで…!」

だめだ。
やっぱりだめ。

この人は私をへんにする。

「なんでってそりゃお前…」

「待って!いい、やっぱり!」

聞きたくない。
何を聞いても、私はきっとどうにかなる。
それが怖いのだ。

「なんでだよ、最後まで言わせろ。
訊いた責任とれ」

「聞かないし、…離してっ」

腕をぶんぶん振り回し
その手を解こうとするが
そんなものが通用する人じゃない。

「いーや、離さねぇし聞いてもらう」

えぇえ!


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