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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第44章 .☆.。.:.夏色.。.:*・°☆.





怪しげに目を細めて、
彼は私に探りを入れる。

「…あの絵の事だけど?」

出来るだけ落ち着いた声で応えるけれど、
彼は更に怪しんで

「違ったろうが」

ふん、と鼻を鳴らした。
でも深く追求する気はないらしく

「…あれは、何の絵なんだ」

次の疑問を口にする。

「…なにを描いたんだか
わかったんじゃなかったの?」

わかったのでなければ、どうして
わたがしじゃないと気がついたんだ。

「わかった。桜だろ?
で、あの幽霊みてぇなのは?」

「幽霊……」

お前だよ。
と、よっぽど言ってやろうかと思ったけど、
…やめた。

「俺、あれとよく似た光景をさー…
見たことあんだよな」

「へーえ」

「…なんで機嫌悪ィの」

だからお前だっての。
お前のせいだよ!

「悪くない」

すぐつく私の嘘を

「いや悪ィだろ…」

いちいち見抜く彼。

「悪くない!」

彼の言葉を遮ると、
小さなため息をつき
再び背もたれに身体を預ける。

「あっ、そ」

「で?なんて?」

「あれは、俺が見た景色だって言ってんの」

「はぁ?そんなわけないでしょ、」

「だってあれが桜だと仮定してだぞ?」

仮定……
そんな事しなくてもあれは桜だ。
紛う事なく、満開の桜だろうに!
そりゃもう誰が見てもだ!

それをどの口が
わたがしだなんて言ったのだ。
失礼にもほどがあるわ。

「咲き乱れてる桜の下に、
ああやって光ってるヤツを
見たことあるんだよ、入学式の日に」

「にゅう、……」

入学式…?

ドンピシャで言い当てられて
私はぞわりと鳥肌が立った。

何言ってんの。
そんな事、この人が知ってるわけない。
私、そんな話したことないもの。

でも入学式と言った。
それは、当たっているのだ。

だけど、…
見たことあるって、言った…
私が見たのは、あなたなんですけど。
まさか自分の事じゃないよね…

じゃあ、この人が見ていたのは
一体誰だったんだろう……

「……誰を、見てたの…?」



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