• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第44章 .☆.。.:.夏色.。.:*・°☆.





これは、
ハタから見たらどう見えてるんだろうな。

友達以上に、
見られたりするんだろうか。

「ここ暑くない?」

「…………」

好きな女と一緒にいられる喜びに舞い上がり
なんーにも感じなかったよね俺は。

突然現実に引き戻された俺は
同時に五感も取り戻してしまった…

「あちぃわ」

途端に吹き出した汗。
なんだこれ。
心頭滅却すれば…ってヤツ?

つうか、こんな溢れる日差しの中に
睦を置いとくワケにゃいかねぇ。

思ったところで、

「私はまだ飲み物残ってるからいいけど…」

睦が口を開いた。
俺の手の中にあるカラのカップをチラリと見て

「…足りないよね、水分。体おっきいしね」

俺の体と比較する。

「ここもいいけど、
もっと涼しいとこ探そ?」

そう言って立ち上がった。

「宇髄くん倒れても私には絶対運べないし。
運んであげられたらいくらでも
ここにいるんだけど」

可愛いこと言うの。
でも、俺が先に言いたかったのに。

「ありがとさん。
でも俺は倒れたりしねぇけどなー」

「わからないよー?今日の暑さ異常だし」

「どう見てもお前の方が危ねぇだろ」

チビだし。

「私は倒れたって、
簡単に運んでもらえそうだし」

くすくす笑いながら
俺に立てと促す。

「まぁそこは任せろ」

これ見よがしに力こぶを作って見せると

「頼りになるぅ。そういうとこかっこいい」

「そう。俺ってかっこいいの」

「あはは、ノリのいいとこ好きよ」

さっき学校の裏庭で
ちょっとおかしな雰囲気になったのは、
純粋に淋しかっただけのことだ。

うっかり仲良くなってしまった
俺という存在と
離れがたかっただけの話。


こいつの『好き』は、
俺のとは違う。
違う種類の『好き』。
そこだけは、取り違えないようにしねぇと。

自分にそう言い聞かせ、

「よし。じゃ行くかー」

待ち切れない様子の睦に倣い
勢いつけて立ち上がる。

待ってましたとばかり
睦は先に立って歩き出した。

持っているカップからは
汗が伝い落ちる。


/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp