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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第44章 .☆.。.:.夏色.。.:*・°☆.









「やっぱおいしーいっ」


…満面の笑みだよ。


俺は睦の何たるかを
まったく理解していなかった。

いや!でも、
今まで見てきた睦の性格から考えて、
あのまま帰ると思うだろー?

俺の読みは正しいはずなんだ。
こいつが激しく破天荒なだけだ。


あの後、去りゆく背中を眺めやり、
そろそろ引きとめなくては
本格的に間に合わなくなると
立ち上がりかけたその時。

クルッと踵を返した睦が
ザッザッとものすごい速さで戻って来て、
いじけたような目を向けたかと思うと

「のどかわいた!」

…そう叫んだのだった。



素直じゃねぇ。
そこもまたかわい。
でも素直。
だからやっぱり可愛い。

こいつの心が他所にあるかと思うと、
悲しい限りだな…


「そんなにうめぇかよ。
生クリームチョコバナナ?」

ん?
違った気がする…

「生チョコバナナミルク!」

「そう、それ」

「おいしいよ!」

今日は公園までやってきてベンチに座り
昨日の店で買ったスムージーを
そこで飲む事にした。

小学生が走り回るのを眺めながら
両脚を投げ出して座り
ズズーッと最後まで飲み干す。

「はやっ」

そう言った睦の手元を見ると
プラカップには
半分以上の生クリームチョコ、バナナ…
生、チョコクリームバナナ…?
ミルクチョコ………
とりあえずスムージーが残っていて…

「おそっ」

つい飛び出したひと言に

「今座ったばっかりだよ?
私が遅いんじゃないもん」

睦はあからさまにムッとして見せる。

「悪ィ意味で言ったんじゃねぇよ」

遅いのもまた良いワケよ。
お前なら何でもいい。

それに、遅けりゃ遅いほど
こうやってうまそうに飲んでるのを
眺めてる時間が長くなる。
そうしたらそれが
一緒にいられる理由にだってなる。

やっぱり浅く腰掛けた睦は
気を取り直して
再びストローに口をつけた。

「ねぇ、」

「んー」

正面を見据えた睦と、
そんな睦を眺める俺。


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