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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第44章 .☆.。.:.夏色.。.:*・°☆.





そうやって無防備にされると、
いいのかなって思ってしまう。

こいつは俺に言われて心を曝す。
隠さなくていいと俺が言ったから。
だから安心してるんだ。
ただそれだけなのに、
俺は勝手に、自分のいいように考える。

だって睦はきっと、
あの男を想っている事だろう……

そんな素振りを見せはしないが、
俺の読みは限りなく正解だ。


なぁお前さ、あいつのこと好きだよな?
あんなのやめて、俺にしとけば?

…軽口に見立ててそんな事を言うには
まだまだ遠い。
お互い、昨日初めて知った事だらけだ。
そんな俺が言える言葉じゃなかった。

「…なぁ、ここさ、」

俺は自分の左側に
浅く座る睦に身を寄せる。
薄い肩に触れるギリギリの所に肘を突き
キャンバスに鉛筆の尖った芯を向けた。

「うん…?」

絵の指導だとでも思ったのか
睦は真面目な表情でそこを凝視める。

…素直で可愛い。
こいつは中途半端な事は言わない性格らしい。
やるならとことん。
そしてちゃんと話を聞いて
それを吸収しようとする姿勢はいじらしくて
もっと多くの事を教えてやろうと
そんな気にさせるのだ。

「ここをな、」

「うん」

睦の描いた線の先に芯を充てがい
スッと引く。

これが何なのか、
さっきわかったのだ。

よく見たら、木なんじゃないだろうか。

確かにここは木だらけだ。
少し考えたらわかる事だった。

そう思った俺は、まったく勝手ながら
木の描き方を伝授すべく、
睦の絵に
許可なく線を付け足していく。

「こうやって、先に向かって尖らせてくんだ。
見たらわかるが、
根本から先まで同じ太さの枝なんか
1本もねぇだろ?」

「そっかぁ…」

睦の反応を見るに、
本当に木で正解だったようだ。

でもこのままじゃホントわたあめだ。

「上手く描くだけが絵じゃねぇけどな、
高校生が描くにはあまりに幼稚だ。
絵本作家にでもなりてぇなら別だけど」

「絵本作家?こんな絵でもなれる?」

「さぁな。なろうと思えばなれんじゃねぇの?
どんな絵だろうがさ」


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