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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第44章 .☆.。.:.夏色.。.:*・°☆.





「あのくらいの歳の女の子って、
ものすごく正義を振りかざすんだよね。
だから集団で、すごく責められちゃって、
私も小さかったからさ
そんなに悪いこと言っちゃったんだって
めっちゃショックで…」

——なんでそんなこと言うの⁉︎
——睦ちゃんひどいよ!
——あの子泣いちゃったじゃん!
——おかしいよ!

そんな言葉たちが、未だに耳から離れない。
責められたのもだけど、
そんなに傷つけてしまったのかって
私の小さな心は抉られた。

そんなにひどい事を言った覚えはなかったから
私は余計に傷ついた。
何が悪かったのか、
誰も教えてくれないまま
その場にいるみんなから責められた…

「その時から人と話すのが怖くなったの。
私が言った事がそんなに悪いなら
もう何も言わない方がいいって思ったんだ。
そのせいで未だにうまく話せないとか、
それこそおかしいんだろうけど…」

鉛筆が奏でる音が、
ひとつの絵になっていく。
ツラい話を言葉に乗せるごとに
私の心は小さく泣いた。

相変わらず何も言わない彼…

でも、

好きなように吐き出せばいいって
言ってくれているように感じていた。
…自分の都合よく捉えているだけかもしれない。

「私は嬉しくなると
きっとワケのわからない事を言い出すから、
自分の気持ちを抑えるようにしてるんだ。
間違いがないように、
全ての理由を相手に訊くようにもしてる。
だけどそれも、やっぱりおかしいみたいで
みんなヘンな顔するの」

「………」

「心なんか、失くなっちゃえばいいって、
そう思えば思うほど
いろんなものが美しく見えるの。
全部を白と黒にしちゃいたいのに
その2つの間には、様々な色が溢れてる。
みんな邪魔だって思うのに…」

話しながら、声が震えている事に気がついた。

…ねぇ私、泣くの?

私の言葉を、責めずに聞いてくれる人がいて

ただ、そのままを受け止めてくれる人がいる。

それだけで、もう。

「よしよし」

わざとらしいくらいはっきりと言いながら
私の頭を撫でる。

「よく言えたなぁ」

掌を、ごしごしと擦り付けられて…。

「お前みたいなヤツは、
自分のこと話すのが怖くてたまらねぇだろう。
それなのに、話してくれてありがとな」


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