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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第44章 .☆.。.:.夏色.。.:*・°☆.





張り合うかのような物言いに、
私は彼の手の中を見遣った。

「…今持ってるのは何?」

「ん?コレ…?」

彼は自分のプラカップに目を落とし

「…マンゴーだな」

私に向かって笑う。
なんていい笑顔…

「そんなに好きなの?」

そうだ、きっと大好きなんだ。

「疲れた頭には甘いモンがいいんだよ」

授業サボってたくせに
どの頭が疲れたんだか……

「好きなんじゃなくて、機能的な問題?」

「ん?いや。それもある」

「じゃあ他は何?」

「期間限定だったから」

「えぇっ!そうなの?」

「そりゃそうだろ。今しかねぇって事は
それが旬だってことだ。
そこ攻めねぇとなぁ」

あ、そういうこと。
ちゃんとした理由があった。

そういうのに
ただ乗っかっちゃうタイプなのかと思った。
少しだけ、ホッとした…

「つうか次っていつだ?
早く来ねぇと期間終わる」

「マンゴーはもう1回飲んだんだし
次は違うのでもよくない?」

私はお店の前に立っている
オシャレな二つ折りの看板の前にしゃがみ込む。

「あれ?いちごミルクもおいしそう…
あッ生チョコバナナミルクってなに⁉︎
それにすればよかった…!」

立ったまま腰を折り
私の上から同じように看板を覗き込んだ彼は

「んじゃまた明日来るか。俺キウイにしよ」

あれ、マンゴーやめたの。

「えぇ、明日?贅沢だなぁ」

「お前は今日の分浮いてんだろ」

「だから別々に払うって言ってるのに
勝手にまとめて支払っちゃったんじゃん」

「だってあんな嬉しそうにしてたらだぞ?
買ってやりたくなるだろ普通」

「ならないよ。そんなの普通じゃないよ」

「じゃ普通じゃなくていいわ」

「その無理やり奢りたい病、
どうにかした方がいいよ?」

「俺だって誰彼構わずこんな事しねぇ。
ちゃんと相手見てんだよ」

「………」

私はストローを口に入れて
ズズッと最後のひと口を啜った。
それと同時に、
私の頭の上にいる彼を見上げてみる。

「……なんだよ」

彼も同じように、
ズズズーッと、最後のひと口を啜り上げた。

「…私、そんなに貧乏に見える?」






















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