• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第44章 .☆.。.:.夏色.。.:*・°☆.





「知ってたのか…」

「うん。いつもここに来てる」

「いつも?」

「いつも。今日は天気がいいから」

睦はぽつりと言って
窓の外に目を向けた。

景色を見ようって腹積もりだったのか。
……

「授業は…?」

「それはお互い様でしょ」

「まぁな」

俺はいいけど…

睦はサボったりしそうもねぇのに。

そう言いかけて、やめた。
みんな色んな事情がある。
できねぇ時だってあるよな。
俺だって自分がなんでこんなとこにいるのか
まったくわかっていないのだから。

「俺が邪魔したよな?」

飽くまで、続きを描きながら会話を進めた。

差し当たって、
さっきから気になっていた事を訊いてみる。

「…邪魔?」

「景色眺めに来たんだろ?
俺が居るとは思わずに」

わかりやすく言ってやると
睦は『あぁ』と納得した。

「そうだった…」

「邪魔なら俺は行くぞ」

「行くって…どこへ?」

「さぁ…?どっか」

「せっかく素敵なの描いてるのに」

「別にいつでも描けるし」

「今の気持ちは今だけでしょ?」

「あー…まぁ…そうだけど」

「このまま見ててもいい?」

「は…?」

「これ。」

睦は描きかけの絵を指さした。

見てる…?

「…景色はよ?」

「景色よりこっちがいい」

なんだよ。
そんなこと言われると
調子が狂う。

「楽しかねぇだろ、こんなん見てても」

「楽し、くはない。でも見てたいんだ」

「あ、っそ…。それなら、見てれば?」

「うん、ありがと」

少し俯きがちのまま、
こちらを向いてふわりと笑った。

…笑った

それが、嬉しくて

ただ嬉しくて

「後で、やっぱやめればよかったとか言うなよ」

つられて俺も、笑ってしまった…

すると睦の目が
みるみる見開かれていく。

…なにその顔。
俺なんかしたか…

心の端に、小さな不安が芽生えた時…

「笑ったぁ…」

睦はものすごく嬉しそうな顔をした。

笑ってなんかいないのに、
すごく嬉しそうにみえたんだ。


/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp