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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第44章 .☆.。.:.夏色.。.:*・°☆.





「そうかな…」

「着替えしようと、服脱ぎ掛けたところで
ドア開けられたみてぇな感じ」

気まずいし恥ずかしいヤツだ。

妙な例えをしたというのに、
睦のヤツは別段変わった様子もなく、

「それは確かに、
開けた方も開けられた方も恥ずかしいね。
だけど、これは別」

「別?」

「うん。だってこんな過程を経て
完成していくんだよ?
すごく必要なことだし意味もある」

「…そう、かよ」

まさかそこまでくそ真面目に答えるとは…

思っていた以上に流暢に喋る睦に
俺は少し驚いていた。
しかし、

「これは、…あなたの心の中?」

そう言い当てられて、
俺は声も出なくなった。

正しくは『心のまま』だ。
いくらこの俺様でも、
自分の心の中を忠実に描くなんて妙技、
なかなか出来たものではない。
だが、
何を考えるでもなく絵の具を乗せていく作業は
正に俺の心の向くまま。

しかし、描くものの題材は様々だ。
なのにこれを、俺の心の中だと
睦はどうして思ったのだろう。

質問の答えが返ってこない事に疑問を抱いたのか
睦はツとこちらを見上げた。

「あぁ、…そうだな」

曖昧に頷いてやると、

「暗かった気持ちが晴れたの?」

睦は再び、キャンバスに目を移した。

なんだこいつ!

「何でそう思う?」

「えぇ…何で、って…
何でかな…そんな気がしたんだ」

「そんな気…?」

「うん。淋しい色に、
綺麗な色が混ざってる。
乾く前に乗せちゃってもいいの?」

「油絵の具の扱い方知ってんの」

「知らない」

「知らねぇのかよ」

「混ざってるの綺麗」

「気持ちの移り変わりがわかるだろ」

「あぁ…そっかぁ。
だから境界なくしてるのか。
気持ちって、量れないもんね…」

……

違和感の残る言い方だった。
睦は小さく頷いて1人納得している。

普段穏やかにしている睦の
裏側を垣間見たような気がした。

「…なんでこんなとこにいたんだ」

「え?なんでって…。
この時間、ここ空いてるから」


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