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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第44章 .☆.。.:.夏色.。.:*・°☆.






そんな俺の背中に、

「数学を笑うヤツは数学に泣くぞ」

不死川の声がぶつかった…。




…どゆこと?








開け放った窓からは、
冷たい風と共に
下の階で繰り広げられている
授業の内容が入り込んでくる。

ここにいても充分、
授業を受けているみたいだ。

ただこれは、数学ではなく
…古文かな。
少し離れた所からは歴史。
反対側は地学で、その上は音楽だ。

聴き慣れた課題曲。
俺も去年歌ったな…

そんな事を思いながら、つい鼻歌…

何を描くでもなく、
ただキャンバスに絵の具を塗り付けて
俺は心の中でため息をついた。

何でいきなり授業をサボったのか
自分にもよくわからない。
まさか不死川に告げた事が
真実であるはずもなく。

この時間に
美術の授業がなかった奇跡に感謝。

遠くから響いてくる数々の風景を、
ここの静寂が
全て吸い取っていくような感覚の中
俺はただ、筆を走らせていた。

























いつも私を
こわーい目で睨みつけて来る人がいる。
今年初めて同じクラスになった男の子だ。

男のコ、と言うには
あまりに似つかわしくない風貌だけれど。

背はものすごく高いし
綺麗な顔立ちをしていて、
なのにそんなの鼻にもかけないさっぱりとした
…それでいて豪快な性格。

周りの…特に女子からの人気は絶大。
わかるけど。

だって、別に妙な気を起こしていなくても
何かの拍子に近づいた際に
高校生離れした風貌は

匂い立つような色気を醸し出して…

その時私はハッとした。

ある光景を思い出したからだ。

入学式の日に、
光り輝いて見えた人だった…

桜の花びらを浴びながら、
散りゆく桜をうれいているような表情が、
とっても印象的で…

出逢いはあんなに運命的だったのに、
…いや、出逢いというか、
ただ私が、彼を見つけたというだけで
お互いを認識し合ったわけではないけれど
…だけど
1、2年は同じクラスではなかったし、
話すどころか顔を合わせる機会もなかった。

マンガのような奇跡が起きるわけもなく

こうしてやっと同じクラスになれた今、
私は別の人に想いを寄せていた…。



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