第44章 .☆.。.:.夏色.。.:*・°☆.
不死川の席は睦の後ろ。
故に、暑い。
だから休み時間の度に、
こうして廊下側へとやってくる。
来なくてもいいのに。
一方的な感情…
まさか不死川も、
俺に嫉妬されているとは思っていないだろう。
どうしたらお前みたいに
睦と仲良く出来るか、
なんて…
コイツにそんな事を訊いたら
…間違いなくオモチャにされるだろうな。
容易に想像がついて吐き気がするわ。
「昼メシ何食う」
……
「早ぇな」
まだ1限終わった所だ。
「朝ヌキなんだよ。腹が鳴ってしょうがねェ」
「寝坊かよ?夜更かしでもしたのさねみんは」
「やめろ、気色悪ィ」
「女と夜通しヤッてたのー?」
「おー、どうだろうなァ」
「まぁじで。やるぅさねみんたら」
「その呼び方やめろやァ」
心底嫌そうに俺を睨む。
「いーじゃん、仲良しだろ俺ら」
「気色悪ィのーォ」
「またまた、嬉しいくせに」
「…だまれ」
フイとそっぽを向く不死川…
あら…図星だったかな。
まぁそれくらいの意地悪してもよくね?
俺の睦チャンと
いつも仲良くしてくれちゃって。
いや、まだ俺のじゃねぇけどな。
それどころか
このままじゃ一生ならねぇわ。
…………
「…不良」
「はァ?」
出すつもりのなかった言葉が
つい口をつき、
不死川の耳にまで届いたようだった。
「優等生は、不良に憧れんのよ」
「何言ってんだてめえはァ」
片眉を上げ、俺の不可解な発言に
少し戸惑った様子だ。
そっかぁ…
そうだったのか。
「第一印象として欠けていたのは
俺の不良の部分だ」
「だからなんなんだァ」
立ち上がった俺の顔に
不死川の視線がついてくる。
「つーワケで」
俺は片手を上げて
不死川に背を向けた。
「てめえ、ワケのわかんねえこと言って
体(てい)よく次サボるつもりだろ」
「俺の不良の部分を見せつけねぇとね、
いけないワケなのよ。ツラいとこだが
フケさせてもらうわ」
「次数学だからだろォ」
「いやいやまさか」
疑りの声をぶつけてくる不死川に向かって
後ろ手にひらひらと手を振る。