• テキストサイズ

【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第44章 .☆.。.:.夏色.。.:*・°☆.






——いつもあいつが、
ヤツを目で追っているように見えるのは
単なる気のせいだろうか。

いや、気のせいではない、
ように見える…。

一見、正反対の2人。
1人はどう見てもいわゆる不良だし
1人はどう見ても優等生だ。
なんの繋がりがあり、
どんな共通点があるのか…。


気になるあいつと
同じクラスになったのはありがたい。
ただ、余計なのも付いてきた。

そんな微妙な感じのクラス替え。

2年越しの願いが叶い
やっと同じ教室に入れたというのにだ。
あの2人は去年まで、
クラスが同じだったと言う点が強みだ。


入学式の、あの光景は忘れない。

あの時、俺の目に光り輝いて見えたのは
間違いなく、あの窓辺の席に座っている
櫻井睦だった。

こうやって、廊下側の端から向こうを眺めると
未だに光を放ってるように見えて…

眩しいんだけど。

2人の距離の差を思い知らされるようで…
俺はまだ、ここから進めねぇのかと
ため息のひとつでもつきたくなるってモンだ。

他のヤツなら、軽い感じで声掛けできるのに
それもできねぇってのはどうした事だ。

ちょっと好みの女がいたら
大人だろうが子どもだろうが
うまいことやって来たこの俺が
この数ヶ月はまったくの形無しだ。

俺なんか木偶の坊だ。
あーあ、今までのスキルは?
俺の功績は?

ここへ来て
本気の女相手に何も出来ねぇんじゃ
何のイミもねぇだろうが。


それにしても、
今日はあっちぃ。

夏の日差しは厳しい。
こんな日は、
窓際じゃなくて良かったなんて思う……

窓際は睦の席だ。
…あちぃだろうなぁ。

そう思って睦に目を向けるけれど
あいつは涼しげな顔で
愛読書を読み耽っていた。


「…お前なに見てんだァ」

突然現れた俺の恋敵が
同じ高さに顔を合わせ
俺が何を見ているのかを探す。

…現実に引き戻された。

「何も見てねぇ」

プイっと顔を逸らすも、
不死川は何も気にしていない様子で
前の席にどかっと座り、

「あー、こっち涼し」

首をコキコキ鳴らしながら天井を見上げた。



/ 2219ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp