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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第43章 無償の愛





「んー…どうかねぇ。
俺がこうしたかっただけって可能性も
なきにしもあらずだぞ」

「ふふ…それでも、です」

スルッと擦り寄って甘える仕種。
こりゃほんとに、不安だったか。

「私が生きて来た中に、平坦な道なんてなくて
…大きな山があってあって…またあって…
ヘタしたら下り切る前にまた山があるんです。
だけど、その分谷だってあったんですよね…」

「休まらねぇ谷だろ?」

「えぇ?」

「誰かの目から身を隠すための谷じゃねぇのか」

「そう、かもしれません…。
その時に、色々考えるんです。真剣なんですけど
結局どうでもいい事のように思えて来て
仕舞いには放棄してしまって…」

それは、昔の事か。
最近の事か。
…俺のことだったらどうしよう。

俺に聞かせるって事は、違うかな?
それとも敢えて聞かせてたりして…?

「いい所を見せたくて…でも苦しくなって、
なのに弱さを吐き出すと自分に返ってくるから
どうにもならなくなるの」

「そうか…つらかったなぁ…
で…?ソレは、俺のこと?じゃねぇよな?」

「ほぇ……?」

俺の問いに睦は頭をもたげ
まん丸な目で俺を凝視めた。

「やだ…宇髄さんの事じゃありません!
勘違いしないで下さい絶対違います!」

両手で胸元を強く握りしめて来て
睦は必死に訴える。

「わかったわかった。
もしかしたら俺もそんなふうに思わせてたら
どうしようかと思っただけだから…。
別に誤解したワケじゃねぇのよ」

「宇髄さんは、違うってわかってます…。
こんな事でいいのかなって思うくらい」

「それならいい。お前こそ俺を誤解すんなよ?
俺は睦のためにいるんだからな」

私なんか、といつも言う睦だが
そこだけはわかっといてもらわねぇと
俺がやり切れねぇ。

「それは、贅沢ですね…」

「ほんとにな」

「えぇー?」

くすくすと笑い出した睦は
もう大丈夫なように見えた。

「ごはん作ったらだめなら
これから何をするんですか?」

ひとしきり笑って気が済んだのか
睦は小さな疑問を解決しにかかる。


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