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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第43章 無償の愛





睦は目を見張る…
そんなに驚くか…?

「ヘンですかねー」

「全然‼︎でも
宇髄さんおにぎりなんか作るんですか」

「作るだろそれくらい…」

「そうなんだ…」

テーブルの上に無造作に置いていた俺の手を
当たり前のように取って
開かせたり掌を撫でたりしながら

「こんな大きな手だったら
上手ににぎれそう…」

感心したようにあちこちから眺めた。
…なんてことだ…。

「こんな小さな手でも
すげぇ美味いの作るけどな」

俺を掴んでいる手を握り返してみる。

そうされて初めて、
自分が俺の手を掴んでいた事に気付いたように
少し恥ずかしそうに目を伏せた。

「いえいえそんな…」

謙遜をして、それとなく手を引こうとするのを
強く握って引き寄せる。

「で?腹はどうなのよ?」

空いた方の手で頬杖を突き
睦の指先を弄んだ。
細い指を絡めてさするのを繰り返すと
それが心地よかったのか、嫌がる素振りもなく
おとなしくされるがままになる。

「んー…食べなくても平気なくらいです」

「そっか…ならこのままいて、
どっかで早めの昼メシでも食いに行こう」

「……食べに?」

「あぁ、たまには楽しいだろ?
2人でどっか出掛けんの」

「……」

睦は黙り込み、
俺の人差し指をぎゅっと強く握った。

「…どうした。嫌か?」

「あ、…いえ!嫌じゃありません。
嬉しい、です…」

「全っ然嬉しそうに見えねぇな」

「っ…そ、そうですか…」

おろおろと俺に返事をする。
しかもこちらをチラとも見ずに。

「…睦」

少しだけ強めに名を呼ぶと
睦はハッとこちらを向き息をつめた。

「あの、…ごめんなさい…私…」

ハァっと大きく息をつき、

「今…そんな、気分じゃ、ありません…」

睦は戸惑いながらもはっきりと
言葉を運ぶ。

そうか。
家の、事だな…?

「ちゃんと話してくれてありがとう」

礼を述べると、
睦は驚いた表情に変わっていった。

「睦が言ってくれなきゃ
俺は間違えちまうとこだったよ。
そりゃそうだ、悪かった」


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