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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第42章 おにごっこ 〜誕生日企画〜





「絶対あそこから、僕好みの香りがする…!
…君もついて来たって事は…
もしかして大事なヒトだったのかな?」

睦の家が目の前だ。

あと少し距離があれば
或いはどうにかなったのかもしれない。
だが、速さとしてはほぼ互角だったのだ。

これはやべぇ。
もうケリつけるしかねぇ。

そう思った俺は深く息を吐き、呼吸を整えた。

細かい攻撃は避けられる。
これでもあいつの家に近づけねぇよう
仕掛けてはいたのだ。
しばらくの攻防の末の判断。
ヤツの逃げ足の速ぇのなんのって…
そんな意味のねぇ事をいつまで繰り返しても
埒があかねぇや。

走りながら、
俺の様子が変わったことを悟った鬼は
更に速さを増し逃げ惑うが、
『鳴弦奏々』って技はね、
お前を捉えて斬り裂くだろうよ。

ヤツに向けて放った激情を込めた一発。

直撃したのか、
それとも既のところで避けたのか、
爆風が砂埃と火花を巻き上げながら
広い範囲を覆い隠して行った。

睦の家の前に降り立った俺は
巻き上がった砂埃で視界を塞がれつつも
鬼の気配を探る。

近くにはいる…

…前方?
まて、目の前は睦の家だ。
まさか転がり込みやがったか…!

垣根を飛び越え、
庭先から家の中に足を踏み入れる。

一陣の風が吹き、視界が開けた瞬間。
俺は多分、悪夢を見たんだと思う…

睦が、鬼畜生にしがみついているのだ。

俺がここにいるというのに
まったく振り向く気配すらない。

凝視め合い、鬼の心配をしていた睦は
1歩踏み出した俺にようやく気がついた。
しかし
いつものような笑顔を寄越すでもなく、
何なら身を竦ませて怯えた目を向けてくる。

…俺を俺と認識していない。

何故なら、
この鬼のことを『宇髄さん』と呼ぶからだ。

どういうことだ。

こいつの、力なんだな…

「おいてめぇ…今度は俺気取りかぁ」

無意識に唸り声になってしまう。
睦を怖がらせるだけだとわかっていながら
止める事は出来なかった。

「鬼如きが、俺様の真似事とはいい度胸だな」

「真似事、かどうかはわからないよ?」


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