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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第8章 続




「俺あいつらの作ったモンは食わねぇもん」

にっと笑ってやると
考えを読まれて悔しいのか、
プイッとそっぽを向いた睦が

「そんな事きいてません」

ぼそりと言った。
可愛くねぇなぁ。
なのに可愛いってどういう事だ。

「はいはいそうですか。
…俺、明日の朝メシ、お前のが食いたい」

甘えるように声をかけると
ぱっとこっちを向いて

「うん!」

ウソみたいに笑顔を見せた。
くくく…変わってねぇ。
ガキの頃と何も変わってねぇ。

「睦可愛いなぁ。お前ほんとたまんねぇな」

自分のした事を理解したのか、
頬を染め澄ました顔をすると

「冷める前にいただきます」

落ち着いた声を出す。

「おぅ。じゃあ…ホラ」

箸で一口分、
白飯をとると睦の口元へ持っていく。

「いえ、自分で出来ます!」

慌てて言うが、さっきから少し動いただけで
ぐっと歯をくいしばるのに気づかねぇ俺じゃない。

「むりさせたのは俺なんだから、
こんな時くらい甘えとけ。
雛鶴にも言われてる。大切にしろとか、
食わせてやれとか…」

…多分こういう意味じゃねぇだろうけどな。

「えぇー…でも…」

「でも何だ」

睦は言いにくそうに下を向く。

「そんなこと、誰かにしてもらった事ないし。
…恥ずかしいので…」

また出た恥ずかしい。

「だから、もう俺に対して恥ずかしいとかねぇだろ。
誰もいねぇし、いいだろうよ」

「…えぇ…」

ぶつくさ言い続ける睦の口に
しつこくメシを運び
結局は完食するまで食わしてやった。

「それにしてもお前、あの3人に気に入られたなぁ」

「そうでしょうか…」

「あぁ、あいつらお前のためなら
何でもするようになるぞ」

「それは…嬉しいやら怖いやら」

くすくす笑う睦。
こいつのどこが、
人をそんなに惹きつけるんだろうな。
そんな、睦が誇らしい。

「あ、宇髄さん、」

拙い動きでこちらを向いた。

「ん?」

「あの人たち、私のこと様つけて呼ぶんです。
やめるよう言ってもらえませんか?」

「何でよ」



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