第41章 輪廻 〜if〜 後
「オトコには聞かせられない話をするのよ」
「…別にそんなのないよ」
「えーっ!変わったコね、…そう…
もしかしてそうやって
彼ともお話しするのサボってるのかしら」
「サボる…⁉︎」
聞き捨てならないな!
「そうでしょ?話をしないとお互いの事なんて
いつまでもわからないままだわ。
自分のことなんか話してもつまらないだろうって
高を括ってるんじゃない?」
「……」
聞き捨てならなかったはずなのに
いきなりどんぴしゃでど真ん中を撃ち抜かれ
私は何も言い返せなくなった。
「ははーん、図星ねー?わかるわかる、
でもね自分ではそう思うかもしれないけどさ、
相手にとっては大切なことよ?
睦ちゃんだって、宇髄くんのことなら
どんな些細な事でも知りたいでしょ?」
「…う、ん…」
「それと同じよー?」
あれ?なに言いくるめられてんだ?
「私はいっぱい話したわぁ。
その日あった事はもちろん、
今までどうやって過ごして来たかとか
何が好きでそれについてどう思うのか、とかね?
好きな食べ物は必須よ?
彼に作ってあげたら大喜びで食べてくれるし
自分も幸せに感じるから」
ナギリはとても綺麗に微笑んだ。
その時のことを思い出しているみたいで…
私の中に点いた小さな炎は
見る間に大きく燃え広がって行った。
ジワジワと迫り上がって来る怒りにも似た感情が
私を少しずつ蝕んでいく。
この目の前にいる女の人が
先生と2人、楽しく暮らしていたのかと思うと
悲しいような悔しいような…
あぁ、これが嫉妬ってヤツなんだなぁと
どこか他人事のように考えていた。
想像しただけで、
もう我慢のできなくなった私は
どうしてもひと言、言ってやりたくて
大きく息を吸い込んだ…
それと同時に
美術室からひょこっと顔を覗かせたのは
宇髄先生、その人だった…
「悪ィ睦、遅くなっ…」
「そうやってすぐ仲良しぶるのやめてよね!
先生は私のなのに…!」
「て……かえろ、かなー…とか、」
「…っ‼︎」
私は両手で口を塞ぐけど
そんなのもう遅い。
何でこういう時ってこんなにタイミング悪いの⁉︎
「なに…俺?あれ、何で百鬼いんの?」
「ひどーい、月曜日に来いって言ったの誰よー」