第41章 輪廻 〜if〜 後
「…何の話?」
「私ホラ、」
ナギリは自分の左手を
私に向かって差し出した。
「もう結婚してるから…」
「えぇっ⁉︎」
薬指にはキラリと光るものが
確かにはまっている。
「どっかからその話が私の旦那に漏れるのを
防いでくれたのかもね?でも別にいいのよ。
私の旦那サマ、全部知ってるから。
隠す必要なんてこれっぽっちもないの」
「…よく結婚なんてする気になったね、」
私はそっちの方が気になってしまった。
だってそんな目に遭ったくせに…
「うん。だって、
どんな私でもいいって言ってくれるから。
ナカちゃんがいないと生きてけないって、
そこまで言われたら
信じないわけにもいかないでしょ?」
「…そうかなぁ。そんなに簡単にいくもの?」
死にたいくらいに蹴落とされたのに?
「そうなの。案外簡単よ。
それに…ちゃんと幸せになった所を
宇髄くんに見せたかったの。
あの時、私を救ってくれたおかげで
幸せになれたよって言いたかったのよ」
拾ってくれた、ではなく、
救ってくれたと言った…
先生が、人の命を救った…。
私の好きな人がした事は、間違っていなかった。
ついでに、…
「私にやきもち焼く必要がないってわかった?」
ソレだ。
その通りだよ。
「…ちょっとだけ」
「えー?ちょっとだけなの?
困るわ、ちゃんとわかってよ!
恩人のお邪魔してるなんて心苦しいもの。
あとはどこが気になるのぉ?」
何でそんなこと言わなきゃいけないの。
そう思って黙り込んだ私に
「ねぇったら。
言ってくれなきゃわかんないから」
お願いをするように言い、
形のいい眉を寄せる。
「わかんなくていいし」
「なによー、何で私にも話せないわけー?」
「なんでよく知りもしない人に
そんなこと話せると思ってんの?」
「えー?女子トークだよ?
した事ないわけじゃないでしょ?」
「女子トークってなに?」
「うっ…そでしょ⁉︎」
ナギリは両手で口元を覆い
わかりやすく驚愕した。
…やっぱり好きじゃないかも。
「いいわ、じゃ私としましょ女子トーク!」
だから女子トークって何だよ?
「普通に話すのと何か違うわけ?」