第41章 輪廻 〜if〜 後
「えぇ…!」
「ひどい話でしょー?」
ひどい話だと言いながら笑っている所を見ると
すっかり吹っ切れているようだった。
「この事業が成功したら
君と結婚できる目処が立つかもしれない!
なんて言われて…よくある詐欺の手口よね。
だけど舞い上がるとさ、
何にもわかんなくなっちゃうもんなんだよね」
この人も、
男で痛い目みてる人なんだ…
「しかもそいつ、既婚者だったの。
好きな人には奥さんが居て、
そんなやつに頑張って貯めてきたお金、
全部渡しちゃったのかと思うと
もう何もかもヤになっちゃって」
先生が言ってたの、このことか…
「生きてるのがイヤになっちゃったんだ。
最初は5階の窓から飛び降りようとした気がする。
そしたら宇髄くんが来てね、引き止めるワケ。
俺の前で死ねると思うなよって言われたの。
だから家で首吊ろうと思ったら
ピンポーンって訪ねてくるのよ。
どこから見てるわけ?って訊いたら
どこでも見てるからお前は死ねねぇよって
あの人真っ直ぐに言ったんだ」
「…すごい。先生っぽい」
先生がしそうだし言いそうだ。
「そうでしょ?」
「うん…」
「だから私、だったらあんたが責任持てって
そう言っちゃったのよ、だって
死にたかったのにそうさせてくれないんだから。
今考えたらめちゃくちゃな話だわ。
だけどあの時はもうムリで…」
「うん…」
わかる。
私も先生に、めちゃくちゃなこと言った。
自分のツラいのを、先生にぶつけちゃった。
「カラダの関係を持ったのも、…
私からお願いしたからだもんね。
ごめんね」
「そう、だったの…?」
「そうよ?…え?聞いてないの?」
「聞いてない…。
一緒に居ればそうなるよねって言ってた」
「バカねー…!好きなコにくらい
ほんとのこと言えばいいのに!彼はね、
そんなのダメだって最後まで言ってたのよ?
だけど私が耐えられなかったんだ。
淋しくて、ツラくてね」
「…そっ、か…」
先生…
てっきりノリノリでヤってたのかと思ってた。
「私の立場が悪くならないように
自分が悪者になってくれたのね。
でもそんなの睦ちゃんには
関係ないのにねぇ?」