第41章 輪廻　〜if〜　後

「ほんっとにお前は…」

先生はキズの周りに指を立てて
痛みに耐えているようだった。

「ごめん…やっぱり絆創膏とか貼る」

「あぁ、いらねぇよ。
そんなんいいからここにいろ」

「…私またさわっちゃうかもよ？」

「触るなら触れ。それと引き換えにしても
俺はお前と離れねぇからな」

「…えぇ…」

そんな子どもみたいなこと言われても…
それより、

「何で笑ったの…」

「ん？んー…怒るなよ？」

「えぇ…うん、怒らない」

「可愛かったんだよ。
あんなに恥ずかしがって暴れてたのに
俺の話に簡単に乗ってきてすぐ忘れるからさ。
そういう単純なとこ好き」

「……そう、

「なぁさっきさ、」

「うん」

先生はなぜか
私の顔を自分の胸に押し付けさせた。

「私には手ェ出さないのは何でか、
的なこと言ったよな？」

「はぁ何言ってんの。言うわけないじゃん、
バッカじゃね？」

「…お前その口悪ィの何とかしろよ。
照れ隠しがバレバレで可愛いだけだぞ」

「かっ…‼︎可愛くないし！
おかしいよね絶対！先生ヘン！」

口悪い女は可愛くないって言うとこでしょ？
絶対間違ってる。

だけど、こうやって私の顔を
先生の胸に押し付けた理由が
よくわかったような気がする。
私がこうやって照れる事を見越して
隠してくれたんだよね…

ヘンなとこ気が回る…
いや、総べてにおいてかな。

こんな人が何で私なんかを慕ってくれているのか
理由がちっとも見当たらない。

「はいはい、へんてこりんで結構ですよ。
んな事はいいから。
なぁそれはさ『先生ならイイよ』ってイミ？」

「そんなこと訊く⁉︎」

ホントにバカなのか、
デリカシーが極端に欠如してるかのどっちかだ。

「あれー？大事じゃね？
俺の勘違いでおかしな事になりたくねぇもん」

「先生が勘違いしたならしたで
…もうそれでいいんだよ…」

「あぁー…そー、なのねー…
じゃ勘違いしとこ」

…するんだ。

「ただ、勘違いすんのは
睦が卒業してからな」

「そつ、ぎょう…？」

「そう。お前が、
俺の生徒じゃなくなってからな」

そっと抱きしめてくれる腕が
より優しく感じた。