第41章 輪廻 〜if〜 後
「そうそう、多分狂ってんじゃね?
だって俺の生活、もうお前中心だもん。
他どうでもいいんだよ、すげぇだろ?」
「すげぇだろって…」
自慢か?
いやいや、自慢たりえない…
「仕事中はさすがにねぇけどな、
それ以外はほぼ睦に何してやろうかとか
次は何買ってやろうかって…
帰ったらあぁしてこうして、何の話してとか…
気持ち悪ィよなぁ」
言葉とは裏腹にあははと笑い、
先生は、
「なぁ、でもそんな気持ち悪ィヤツにもさ
お前の震え、止められるだろ?」
今まで聴いた中で1番優しい声で言った。
「…え…」
「それなりに役に立つと思わねぇ?」
「………」
そういえば…
私、普通に先生の腕の中に収まっているけれど
さっきまでの嫌悪感。
人肌を拒否する震え。
大きな恐怖も、全部なくなっている。
「先生…」
「んー?」
「私はさ、先生みたいには出来ないと思う」
「俺みたい?って?」
先生は不思議そうにして
私の顔を覗き込む。
なんにもなかったみたいに接してくれるんだね。
それが愛ってやつ?
「まだまだ弱くてね…。
先生に好きでいてもらいたくて必死なの。
見返りどころじゃないよ?
私の好きなんかよりも
もっともっと好きでいてもらいたいの。
勝手でしょ、求めてばっかだよ」
「…そうか」
決死の覚悟で暴露してるのに
先生は穏やかに笑っていた。
…嬉しそうにも見える。
「先生みたいに優しくないし強くもないの。
1人で勝手に不安になって
こんなになっちゃうようなヤツだよ」
「それだけ睦が傷ついて来たって事だ。
自分を守るために身につけたワザだろ?
当然の事だ、むしろいい事だぞ。
だけどこの先そんなふうにならねぇために、
俺がこうやってそばにいるんだよ」
「でもそれじゃ先生がツラいでしょ?」
「なんで俺がツレぇの?」
「だって迷惑ばっかりかけるもん」
「迷惑って…。わかってねぇなぁ、」
クスッと笑って、
ぎゅうぅっと私を身ぐるみ抱きしめた。
あぁ、…先生だ。
あったかくて、いい香り…
よかった私、先生の所に戻ってこられた…