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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第8章 続




「そんな顔したってもう遅ぇ」

「だって、みなさん私たちの夕餉を…っ」

「後でも食える」

「…私もう体がっ」

「まだまだいけるくせに。来い睦」

睦の腕を掴み上げ、障子をあける。
その腕を自分の方に引き寄せて、
最後の抵抗…。
不安そうに揺れる瞳に、

「……優しくするから」

俺も、最後の殺し文句。
それに一瞬の隙を見せた所をついて、
部屋の中へと引きずり込んだ。














「天元様」

雛鶴は厳しい表情。
その様子に恐れをなしたのか、
まきをと須磨は姿をくらましやがった。

「私は、夕餉の支度をと申し上げましたのに
一体どういうおつもりですか」

「…メシより大事なモンがあった…のかな?」

「睦様は病み上がりでいらっしゃいます」

「…あぁ」

「天元様が1番大切にして差し上げなくては
ならないお方ですよ?」

「…おぉ」

「睦様が
お部屋からお出になる事ができない理由を
胸を張って仰る事ができますか?」

「そりゃ俺が抱き潰し「もう結構です」

はいはーい…。

「愛していらっしゃるのはよくわかりますが、
弁えて下さいましね。夕餉は責任持って
天元様が食べさせてあげて下さい。
私は本日、もうお暇致しますので」

優しく微笑む雛鶴に、
さっき睦が言った愛情を感じた。

「…ありがとな」

雛鶴はもう一度微笑むと音もなく消えた。





3人が作ってくれた夕飯を膳のまま自室に運んだ。
障子を開けると、大きな布団の真ん中に、
埋もれるようにうつ伏せで眠る睦。
掛布は腰のあたりまでしか掛かっていないので
上半身が寒そうだ。
膳をそうっとおろし、睦の顔が
見える所まで移動する。
心地よさそうに眠っている。
…起こすのはしのびない。
でも飯が冷めちまうのももったいねぇような…
どうしたもんか。
俺はそうっと布団の中に忍び込む。
裸の背中をゆっくりさすり、

「…睦」

声をかけると、

「うん…」

もそっと動き、ぎゅっと俺に抱きついてくる。
…こいつ、なかなか起きねぇんだよなぁ。
ゆっくり寝かしてやりてぇけど。

「睦、メシだぞ。食う?」

あ、そうだ。メシだ。起きるかも…?

「うん…」

「…起きる、か?」




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