第8章 続
「えっ‼︎ひどい!愛無くしてあそこまでしてくれると思いますか⁉︎当たり前じゃありませんよ⁉︎」
「…だって俺、お前の事でいっぱいだからな」
「…え…いえ、私はいいんですよ」
急に話しの矛先が自分に向いて驚いている。
「良くねぇよ。
俺が愛してるのはお前だけだ」
肩を抱き寄せると顔を背け
そこから逃れようとする。
「違う違う。そういう愛じゃないんです。
家族愛というか、仕事愛というか…」
どんどん遠ざかろうとしている睦を
どうにかつかまえる。
「あぁ…それならわかる…」
睦の頬に口づけた。
「ん…なら…居てもらったらいいでしょ?」
「お前がいいなら…お前のいいようにする…」
その頬をつかんで、唇を合わせた。
睦は俺の行動が妖しい事に気づいたようだ。
だが俺は、両腕全体で締め上げるように
睦の腕ごと抱き込み、動きを封じた。
「ちょっと…宇髄さん、何、ですかコレっ」
まったく動けなくなった睦は
せめて口づけから逃げる為、
顔をそらしてわめく。
「んー…お前の事、好きにしたい…」
「何で急に…っ」
睦なりに思い切り力を入れてるんだろうが
おもしろいくらいに動けてねぇ。…可愛い。
ガラ空きの首に顔を埋めてやると、
「やだやだ!くすぐったいからやめて!」
身を捩る。
「やめねぇ。好きなようにしてぇの」
「そこで喋らないで!離して、よっ…」
くすぐったいのを堪えて息を詰めた所へ
かぷっと甘噛みしてやる。
「ひあっん!
いい反応を見せる睦。
…やべぇ、ちょっとからかってただけなのに。
止まれねぇかも…
「抱きてぇ…」
そう呟くと、全身にぐっと力を入れて
「だ…だめですよ?さっきあんな…」
「さっきのは、お前を治めるためだろ?」
「…えぇ?…ちょ…」
「俺にも、つきあって…?」
甘えるように囁き、
その場に押し倒すと大慌てで
「いや!何でこんな所でっ…!」
「…じゃ俺の部屋ならいいんだな?」
俺はすぐ目の前の部屋の障子を見遣る。
つられてそちらを見る睦は
俺の部屋があまりに近くにある事に
しまった、というような顔をした。
すぐに連れ込まれる距離だからだ。