第41章 輪廻 〜if〜 後
「おぉぉい!」
見事なツッコミだが先生よ、
これは荷が重いぜ。
「なんのつもりか聞かせてもらいたい」
「俺のモンだってつもりしかねぇだろうが!」
「…何でこんな事するの」
ぞんざいに扱ってるんじゃないよ?
だけど、いきなりすぎるでしょ。
今日バレンタインだよ。
チョコレートひと粒で充分伝わる日だよ。
それをこんな…
「重く考えんなよ。虫除け程度だ」
「そんなの私には必要ないのに。
私の事なんて誰も見てない」
そのためにこの3年、
おとなしくしてきた。
おかげで友達の1人もできなかった。
私なんかいてもいなくても同じだ。
それなのにそんな幽霊に、
先生が命を吹き込むから…
こんな素晴らしい事になっちゃったじゃない。
「俺には必要なんだ。
お前は俺のって縛り付けとくんだよ」
「…私が、よそ見するって…?」
「いや、それ見た男ががっかりするように」
「牽制?」
「言ってるだろ、虫除けだ」
「居るかな…虫」
「さぁな」
私のこと好きになる物好きなんて
先生くらいしかいないよ。
「いようがいまいが、
睦が俺のになったって
嚙みしめさせてくれよ。
ソレ、受け取ってくれるんだろ…?」
もはや一体化した私たちは
心まで溶け合っているよう。
ほんのちょっと力を抜いただけで…
自分の気持ちを認めて受け入れただけで
泣いてしまいそうになるくらいに
この人が好きだ。
今までよく、抑え込めていたもんだ…
「先生…」
「んー」
私の目尻をぱくりと食んで
先生は返事をしてくれる。
傷ついた過去ごと抱きしめてくれる腕が、
頑なな私の心を溶かす言葉をくれる唇が、
流れた涙を綺麗に消し去ってくれる指が、
「だいすき」
どっちつかずの態度を引きずって来たのに
文句のひとつも言わずに私を想ってくれて
おかげで私、
安心して先生のこと好きになれる。
「ずっと私のことだけ見ててね。
あの子たちの所には行かないで…」
「睦…」
「その目は私のものだから…」
私は先生の頬に手を添えて
綺麗な目を覗き込んだ。
「目だけじゃねぇけど…?」
「私だけ見ててね」
「…あぁ、そういう事…」