第41章 輪廻 〜if〜 後
ふと目を細め、
とんでもなく優しい表情を作ると、
「…開けてみるか?」
甘い声で誘惑する。
そう、中身が気になっていたの。
さっき開けてもいいかって訊いたのに
いきなりあんな事を始めるから…。
「開ける…」
ふわふわする頭は、もううまく回らない。
訊かれたら頷くだけだ。
あのままキスされ続けていたら
もっとおかしくなっていたんだと思うと
恐ろしくてたまらない…
そのまま浮かび上がってしまいそうな私の
何も持っていない方の手を握って
ゆっくりとソファへと引いていく先生。
おとなしくついていくと
先にそこへ身を沈めた先生が
くいっと私の手を引っ張った。
そんな事をされたら当然、
先生の上に乗っかってしまうわけで…
だけどふわふわな私には
抵抗する力なんかもう残っていない。
先生は先生で、当たり前のように抱きしめて
「お前冷てぇなぁ…
どんだけ外にいたんだよ」
私の全身を包んでくれた。
あぁ、先生の唇が熱かったのは、
私が冷え切っていたせいなのかな…
それだけじゃないような気もするけど。
「帰ってからずっと…」
「帰っ…て、4時間以上あったろ…⁉︎」
「そうかも」
午後の授業をサボって1時に帰って来た私は
先生が帰る6時前までの時間を
外のロッキングチェアの上で過ごしたのだ。
最後の1時間は、
日も落ちてしまって
すごく寒かったけど…。
「先生も、早く帰ったでしょ…
私とおんなじじゃん」
「一緒にすんな。俺はサボりじゃねぇ」
「えぇ…?私だってサボりじゃないもん」
先生があったかくて、
もっとあったまりたくて
私は先生に身を擦り寄せた。
それを当然のように受け入れてくれる先生は
ぎゅっと引き寄せてくれる。
「じゃなんだよ」
「体調不良」
「はぁ?どこがだ?」
「好きな人を失うかもしれないという
激しい悲しみからくる無気力症候群」
「…なんーだそりゃ」
そっけない返答の割には
私の発言がえらくお気に召したようで
先生はくすくす笑いを洩らしながら
私のおでこに頬を押し当てた。
「じゃ今は、好きな人をゲットできた
凄まじい喜びから来る悦楽症候群になったか」