第41章 輪廻 〜if〜 後
ルーフバルコニーにある
2人掛けのロッキングチェア。
骨組みはスチールフレーム、
シートは程良く柔らかい。
伸縮棒を伸ばせば固定され
ソファとしても使えるそれを
私は結構気に入っていた。
この寒さの中、
心地よくて離れられないほどに。
だけどさすがに、寒い…
でもこの揺り籠みたいな感覚が好きなんだ。
シートに包み込まれるようなこの角度も。
2人掛けだから広いし
どんな格好でも…
例えばだらしなく寝転ぶ事だって出来るのだ。
あー…このまま寝たら、凍死するのかな。
そう思った時、
部屋の方が騒がしくなった。
このチェアは景色の方を向いていて…
つまり、部屋を背中にしているので
私からは見えないけれど
仕切られた窓の向こうから
ドタドタと大きなのが走り回るみたいな
騒々しい音がしたのだ。
窓を通して差し出でる灯り。
先生が、帰ってきたんだろう。
おかえりくらい、言わなくちゃ…
でも冷え切った私は動くのが億劫。
このままでもいいかなぁなんて
バカな事を考えているうちに、
バルコニーに続く大きな窓が
カラカラと開けられて
「睦…!」
切羽詰まったような先生の声が
辺りに響き渡った。
そうだよねー…
先生が私を探さないわけがない。
だって私、
午後の授業サボって帰って来ちゃったし。
「睦!どこ行った!」
先生の側からは、
チェアの上にうずくまっている私は見えない。
ロッキングチェアが揺れているのも
強い風のおかげで全然違和感はないはず。
「睦!」
先生の大きな声は、部屋の方を向いたり
バルコニーの方を向いたりする。
私はここですよーって、
言いたいような…言いたくないような。
意地張っても仕方ない事くらいわかってる。
私が心配なら、
勝手に見つけたらいいじゃんと思いつつ、
早くその腕に抱きしめてもらいたい自分もいて
複雑な思いが交錯したけれど、
結局、少しも動けないままだった。
「帰ってんのはわかってんだぞ!
かくれんぼなんかしてる場合か!」
苛立ちを隠そうともしない先生。