第41章 輪廻 〜if〜 後
だけど、先生も先生じゃない?
何あの微妙な態度。
私のこと好きだとか言っといて
平気で他の子に群がられちゃってさ。
いいご身分だわ。
別にさ。
…私にそんなこと言う資格ないけどさ。
コイビトじゃないし。
自分からは何も行動おこさないしね。
関係ないけど、全然。
…先生に、お弁当渡しそびれちゃったな。
私は両手の中に収まり切らない
2つのお弁当箱を見下ろした。
お腹を空かせたまま
午後の授業をする先生を思って
一瞬どうしようか悩んだけれど、
女子たちに囲まれた
さっきの光景がパッと浮かんで…、
別にいいや。
一食抜いたくらいで死にゃしないし、
お腹すいたなら
もらったチョコでもかじればいいんだ。
そんなふうに、意地を張ってしまった。
だけど…。
…先生、あのチョコ受け取る?
受け取ったら、どうなるの?
あの子たちの気持ちを
先生が受け取ったって事になっちゃうの?
どうするかは先生の勝手だけど、でも、
そしたら私は、どうなるのかな…
先生の家は、広い。
教師ってそんなに儲かるの?
それとも、趣味も何も無くて
他にお金をかける所がないとか。
この部屋はてっぺんにあって
ルーフバルコニーがついている。
見渡す景色は見事。
遠くまで広がるそれは
暗くなると美しい夜景を見下ろす事ができた。
部屋と同じくらいの広いスペースで
ちょっとした広場みたいだ。
この屋上は先生の天下。
他に住んでいる人がいない。
エレベーターにセキュリティがついているから
先生(と私)以外は
屋上に上がって来られないようになっていた。
だから、
インターホンが鳴ることなんてほぼない。
郵便も宅配も1階のエントランスで済むし
先生はいつも、
自分で鍵を開けて入って来るから
私は何の心配もなくここに居られた。
空はもう留紺に染まり、
幾つもの星を散りばめていた。
身体はこんなに冷え切ったというのに、
外気の方がまだ冷たいらしく
私の吐いた息は真っ白に色づいては消えていく。
指先は真っ赤になって
あんまり上手に動かせない。
加えて感覚を失っていた。