第1章 嚆矢濫觴
「じゃ俺もう行くわ」
通りを眺めながら宇髄サンが言った。
「え?そうなんですか?」
「おう」
「何しに来たんですか?」
そう言うと、
宇髄サンはがっくりと項垂れて、
「お前に会いにって、
俺最初に言っただろ」
私を振り返る。
「本当にその為なんですか⁉︎」
「そうだっつってんだよ」
へぇ…
私は信じられない気持ちでいた。
わざわざ私に会う為だけに来てくれるなんて
そんな事が本当にあるのだろうか…。
「ボケッとしてんなよ。
ホラ、お客さんだ。じゃな」
私の頭にポンと手を置いて
通りに消えていく宇髄サン。
何だか色々ついていけない気持ちのまま、
私はその1日を過ごすのだった。