第41章 輪廻 〜if〜 後
「もー…俺が何かしたみてぇじゃねぇのよ」
先生はすすんで私の涙を拭ってくれた。
「お前の涙なんか見たくねぇけど、…
泣いたとこ可愛い…」
自分のパーカの袖口を
私の頬をそっと押し当てて
先生は本気の声でそんな事を言い出す。
なんてこと言うの…
「あ、たまおかし…」
「はいはい、おかしいおかしい」
私に無理やり話を合わせて、
溢れる涙を頬に落ちたそばから拭い取り
先生は私が泣いてなかった事にしようとしていた。
「はい、もう終わり。さ、…おー、完食したのか、
えらいえらい。じゃフロの準備なー」
私の頭やら肩やらをポンポンと叩き、
よくわからない確認をしてから
先生はロボットのようにバスルームへと向かう。
…もしかして先生も、緊張したりしてたのかな…
「私今日はソファでいい…」
それぞれフロに入り歯磨きを済ませ
リビングで少しテレビを見た後、
そろそろ寝る時間かと
睦の手を引いてベッドルームに入った途端
あの衝撃のひと言を吐きやがった。
「今更そんなこと言うかね…」
繋いだ手を少しだけ引き、
リビングへと戻ろうとする。
…まじで。
「ワケを聞くくらい聞いてやろうじゃねぇか」
のっぴきならねぇ事情ってヤツが
あるかもしれねぇからな。
この俺様は
頭ごなしに否定するような事はしねぇのよ。
「ワケ…?えーっと…
今日はソファがいいなって思っただけ」
「…じゃ俺もソファで寝てやるわ」
「えぇっ…⁉︎先生はいいよ!」
わっかりやす…。
「ソファがいいならそうしようぜ」
わざとそう言ってやると、
睦は慌てて
「そうじゃなくて…っ」
次の言い訳を探し始めた。
「明日は、朝早くからごはんの準備するから
起こしても悪いし!」
「…お前言い訳すんのヘッタクソだなぁ」
呆れ通り越して感心だわ。
「……イイワケ…!」
俺の指摘になぜそんなに驚くのかがわからねぇ。
そんなヘッタクソな言い訳で
俺を上手く誤魔化せると思っていた事の方が
よっぽど驚きだわ。