第41章 輪廻 〜if〜 後
…当然だよね。
でもそれってどうなんだろう…?
「出逢いって、そんなモンだろ?」
疑問に思った私に、
先回りしてそんな事を言ってくれる。
「何とも思ってなかったのに、
ある事をきっかけにして世界が開けてくんだ。
それは人間関係だけじゃなく
好きな音楽だったり、食べモンだったり…
何にでも当てはまる事なんだよ。
ほら、ソレだって…」
先生は私が食べているザッハトルテを指さした。
「さっき初めて出逢ったろ?
んで、ホレちまっただろう?」
私はお皿の中に鎮座している
チョコレートの塊を見つめた。
「うん…」
確かに、こんなにおいしいものが
あんな身近な店に置いてあるとは
思わなかった。知らなかった。
先生の言う通り、世界が広がった。
ちゃんとしたケーキ屋さんにしか
売っていないと思っていたのに、
このレベルのものが、
まさかコンビニにおいてあったなんて。
「知らねぇモンを知るってすげぇんだぞ?
その点、世間知らずの睦チャンは
楽しみしかねぇなぁ?」
「そう、なの…?」
「これから色んな事が出来るだろ。
そのほとんどが新しい発見なんだ、
楽しみじゃねぇの?」
考えた事もなかった。
そっか…
「これから…」
これからか…。
漠然とした不安が私を襲った。
先のことを思うと、
じわじわと黒いモヤが
胸いっぱいに広がっていく。
あんまり考えないようにしていた。
こんなふうに不安に飲み込まれる事が
わかっていたからだ。
「悪ィ。あんま考えたくねぇことを
思い出させたよな…」
先生は何も悪くないのに、謝罪をする。
そんなに簡単に謝らなくていいのに。
「今更だが…お前進路どうなってる?」
慎重に言葉を運ぶ先生。
…優しくされるのって心地いいな。
「進学なんかすると思う?」
「…いや、まぁ…」
言いにくそうにする先生を前に
私は少し笑ってしまった。
「そんなに気を遣わなくてもいいよ?
そうだなぁ…あの人の事だから
高校卒業したら、丸一日、
連れてきた男の相手でも
させるつもりだったんだろうな」
「……おぞましいな。
その前にどうにかできてほんと良かった」